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ミッション:禁酒区域突破作戦

「もう我慢できねぇ!!」

幼女の姿になろうと、内面はアル中のおっさん――優は限界だった。


宮殿のどこかにあるはずの 神聖なる酒 を求め、幼女は立ち上がる。

「禁酒生活……おれには耐えられねぇ!!」

この瞬間、宮殿厨房への潜入作戦 が幕を開けた。


優は床を這いながら進んでいた。

「宮殿の使用人たちは、動線が決まっている……

そこを避ければバレずに行けるはずだ。」


ちょうどその時、厨房へ向かう荷車が通りかかった。

「ん?今日はパーティーか?」


積まれた食材の中に輝くものがあった。

バター、パン、チーズ――そして、ワイン。

「ワイン!?!?!?!?」


一瞬、興奮で動きを止めるが、すぐに冷静になり荷車へと滑り込む。

「これで厨房まで移動できる……完璧だ。」


しかし、次の瞬間。

「ん?荷物が多いな……これ、厨房じゃなくて宴席に運ぶぞ。」


作戦崩壊の危機。

「いや待て、それはまずい。」


どうする……どうする……。

その時、せめてこれだけでもと、優が手にしようとしたワインが滑り落ちた。


ゴトン!


使用人「ん?何か落ちたか?」


やばい――完全にバレる――!

優の頭がフル回転する。


この場を切り抜けるには、もう演技しかない。

最終的に出した答え――


「ニャーン!!(ネコになりすます)」丁度猫さんパーカー着ていたのだ

突然荷車から飛び出す優。


使用人たちは驚いたものの、数秒の沈黙の後――

「猫か……?」


それを聞いた優は 四つん這いのままフリーズ 。

「……そう、猫だ……。」


絶妙なタイミングで厨房へ向かって猛ダッシュする。

「もう少しで厨房……!」


優はパタパタと小さな足で歩きながら、目標地点を睨んでいた。

幼女の姿になろうと、心はアル中――酒への渇望は止まらない。


「俺の本能が言っている……ここを乗り切れば、酒にたどり着ける……!」

しかし、その瞬間。


本能が警告を発した――『止まれ』

なぜだ?


その答えはすぐに明らかになった。

廊下の角を覗くと―― 双子がいた。


アイリスとイリス。

何かにつけて 優に厳しい宿敵 である。


「くっ……まずい……。」

優は 猫さんパーカー を着ていた。


「……この姿なら、まだバレない……フゥ……。」

だが、問題はここからだ。


このままでは厨房にたどり着くことはできない。

どうする?どうする?どうする!?


優「ニャーン……。(猫になりすます)」


優は猫パーカーを活かし、静かに廊下の隅を這って進んでいた。

双子にバレずに厨房へ――それが作戦の最終関門だった。


しかし、目の前の運命は容赦なかった。


「優、あなた何してるのです?」

冷静で的確なアイリスの声が響く。


アウトだ。

優は内心「終わった」と叫びつつ、即座に思考を巡らせる。


この状況を切り抜けるための戦術は 一つしかない 。

の脳みそがフル回転する。


優はスッと立ち上がり、堂々とした顔で宣言する。

「いぁ~いいてんきですな~本日は晴天なり!!」

カワイイあざといポーズを完璧に決める。


しかし、双子はまるで動じない。

イリスはジト目を向け、冷静に突っ込む。

「今は夕方だし今日は曇りだよ~……怪しいね。」


優、完全に論破される。

視線が交錯し、静かな沈黙が流れる――。


イリスはため息をつくと、迷うことなく手を伸ばす。

「捕まえた。」


優は抱えられ、足をじたばたと動かしながら叫ぶ。

「はなせ……くっ!」


しかし、イリスの腕力は鉄壁。

優の酒への希望はここで潰えた 。


「まだだ……まだ負けん……!!」


優はイリスに抱えられ、強制送還される形で自室へ戻された。

そして――ベッドにポンッと無造作に放り投げられる。


イリスは軽い口調で言う。

「今日はマリア様主催のパーティーあるんだよ。

だから部屋でおとなしくしてね~。」


そう言って、さっさと去ろうとするイリス。


しかし、その瞬間。


「待てぇええええ!!!」

優は 全力でスカートの裾をつかんだ。

「俺もパーティー連れてけ!!」


イリスは面倒くさそうに振り向く。

「別に~面白くないよ?パーティーなんて。」


優は 全力で演技モードに突入 。

「いやいや!どんなもんか見てみたいんだよ!」

(どさくさに紛れて酒飲むぞ――!!!)


「つれてけー!!」


子どものように 駄々をこねる 優。

しかし、この演技こそが彼の真骨頂―― 俺は大女優だ。


宮殿内、優の騒ぎが響き渡る。


そこに現れたのは、純白のドレスを纏った美しきマリア――

ついにボス登場。

「イリス、騒がしいわね……どうしたの?」


イリスは軽く肩をすくめながら答える。

「あっ、マリア様。優がどうしてもパーティー出たいって~。」


少し考えた後、マリアが優の顔を覗き込む。

「優、あなた本当に出たいの?」

「おうよ」幼女特有のボテ腹叩きながら「俺にまかせろ」


「何が任せろだ」あきれ顔でイリスが


「いいわよ、今日は私の復帰パーティー 

家の派閥の子供たちも参加している軽い宴よ

 優あなた大人しくしてられるかしら?」

マリアが軽く言った


「やったーーー!!!」

優はガッツポーズを決める。

まさかの展開――マリアの許可が降りた。


「マリア大好き!!」

純白のドレスを纏うマリアに勢いよく抱きつこうとする――が、

その瞬間。


イリスが冷静に手を伸ばし、優の動きを制止する。

「ちょっとドレスが乱れるでしょ。本当に大丈夫ですか~?」


マリアは優しくほほ笑みながら答える。

「まぁ私の復帰パーティーだし、優にもいい経験になるわね。」


優は心の中で小さくガッツポーズを決めた。


(よっしゃ!!上手くいったぜ!!)

しかし――真の目的は、どさくさに紛れて酒を飲むこと だった……。

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