裏山
1987年の夏。
学校の昼休み、俺と健二と浩太郎の3人は学校の裏山へ行った。
いままでこの学校にいて何となく気味が悪いこの裏山には入りたくなかったんだが、
高校ももう卒業ってことで探検しようじゃないかってことになった。
学校の隣にグラウンドがあり、サッカーゴールがいつもある辺りの後ろの小道。
そこから山に登って行ける。
10分くらい上ると廃病院があり、我々調査団は潜入に成功した。
「地下室があやしいな」何があやしいのかわからないが健二が言う。
で地下に行くと手術室があり、のぞいてみると手術台にグレイ、と言うのだろうか
宇宙人みたいなのが乗っていた。UFO番組で見たまさにそれが!!
そいつはむっくりと起き上がり、こちらをでかい、黒光りする瞳でギロリと見た。
「おまえらさぁ」奴がしゃべり出した。
「ちゃんと将来とか考えてんの?廃墟探検とかもいいけどさ。いつまでも若いって
思ったら大間違いだぞ。30歳とか過ぎたらさ、時間なんてあっちゅう間に過ぎてしまう。
今はほら、バブルだかなんだか知らないけどさ、今に景気も悪くなって街には失業者が、
山手線には自殺者があふれてだな、え?聞いてんのか?」
俺たちは宇宙人に会った興奮も冷め、現実に戻ってしまい、健二も「感じ悪ッ。帰ろうぜ」
とか言って、俺も「ああ」と気の抜けた声で答え、浩太郎も「うん」とか言って病院を出た。
とぼとぼと教室に戻って行った。