第一話 無知の知ってムチムチみたいでエロイ。
はじめまして、こんにちは。HKです。
「いらっしゃいませ!」
おれの名前は進藤 司。年齢は21歳、良くも悪くもないような近所の大学に通いながら、こうしてバイトをして少しでも銭ころ稼ごうとしてる。金をためても、特にやりたいことも、夢もなにもない。ただ日々の生活をのんびり過ごしている。
「よぉ!司!」
「朝っぱらからうるせぇよ信二」
こいつはバ先で出来た友達、加藤信二。こいつは俺にないものを全て持ってる。顔よし、頭脳よし、金持ち、彼女持ちとかいう鬱陶しい四点セット。正直言って、妬ましい限りだ。
「つーか、おまえなんでバイトしてんだよ。親金持ちなんだろ?」
「いやさぁ、しょーみおれも働きたくないんやけどな、親に頼りたくないっつーか、せっかく大学を東京に選んだ意味ねぇって思ってな。」
「家賃全額払ってもらってる癖に偉そうなこと言うなよ。はぁ…おれもお前みたいな家庭で生まれたかったよ」
こんな感じでおれはいつも意味もなく毒を吐き、信二に鬱憤を晴らしている。
「こっちの家賃タケェんよ。それは勘弁してや(笑)」
いつもこうして信二は100点の笑顔でおれの毒を跳ね返す。そしておれは、自分と信二の人間性の差を感じ、一人自分を責める。
「つーか、司さ、就活とかしてんの」
”あぁ、今一番聞きたくない質問ナンバーワンが来た。”
「説明会とかは行ってるけど、どれもなんか違うっていうか。なんか嫌なんだよなぁ。お前は?家業継ぐのか?」
”本当に妬ましい。こいつは親が太いから。余計な心配なくて、本当羨ましい。うざいうざいうざい。”
心の中でそう叫んでいると、急に信二の顔が暗くなった。なにか言いたげな顔をしている。
”もしかして心の声聞こえてるのか?”
と、くだらないことを考えていると、目を輝かせてこう言った。
「おれさぁ、おまえと新しい事してぇかも」
「はぁ?」
信二がそうつぶやいた瞬間、心の中に渦まいていた様々な感情がどでかい疑問により、一瞬にしてゼロに帰った。
「いやさぁ、おれな、お前となら成功できる気がするんよ。頼む!一緒に天下取ろや!」
信二はおれに何を期待しているのか、まるでわからない。目を輝かせる信二とは裏腹におれは冷静にこうツッコむ。
「いやちょ、ちょっとまってよ。協力するにもしないにしも、まず何で天下取るのか説明しろよ!」
「あ、忘れてた。いや、今天下のSNS時代やんか。ほんでもって、おれ周りにチヤホヤされたいやん。もうおれが何したいかわかるやろ?」
信二がおれの方をニヤニヤしながら見つめてくる。
”彼女いる癖にチヤホヤされたいとか高望みもいいところだろ。”
そう思いながらもこう返す。
「もしかしてYoutuberとかそういうインフルエンサー系目指してます?」
おそるおそるそう聞くと、信二の声圧と顔面の圧で押しつぶされそうになった。
「あったり~~~~! さすがおれの相棒!よぉわかっとるやん!」
”正直、鬱陶しい就活でストレス溜まってたし、こいつの夢に付き合うのも悪くないのかもしれない。しかも有名になったら念願の彼女できるかもだし!金持ちにもなれるかもしれない!ありだ!うん!これはありだ!”
心の中のざわめきを落ち着かせながら、淡々とこう言った。
「まぁおれもやりたいことないし、付き合うだけ付き合ってみるけど」
そう言うと、若干顔を赤らめながら、信二は子供のようにはしゃいだ。
「よっしゃあ!絶対約束やからな!二人でおもろい事いっぱいしよな!」
「お、おう」
信二のあまりにはしゃぎように若干の引きを感じていると、
「なに話してんの?うちも混ぜてよ。」
”透き通るような甘い声。あぁたまらん”
「おはよっ信二♡」
「よっ天音♡」
”あぁ、、ぶっころしてぇ”
「おいおい、非リア目の前にして、そんなことして許されるとでもおもってんのか?」
煮えたぎるような怒りを鎮めながらも茶々を入れる。実はというものの、この佐倉天音という女は、おれがずっと好きだった子だ。おれと同じタイミングで働き、ずっと同じ時を過ごしていた。なのに、二か月前に入ってきた、信二に取られてしまった。本当にうざい。”すこし、仲を引き裂くようなこと言ってやろう”
「あ、天音。そーいやさっきこいつ、他の女にチヤホヤされてぇとか抜かしてたぞ(笑)」
「ちょっとどういうこと!信二!」
「いやちょっと語弊があるっていうか、、司、おまえも変なこというなよ。」
信二の焦り様を見ながら、愉悦に浸ったのも束の間、いきなり、耳にメガホンが差し込んできた。
「おいお前らうるさいぞ!仕事中ってこと分かってんのかああああああああ!」
店長の凄まじい怒号を目の前におれと信二は反射的に姿勢を正した。
「すみませんでした!」
そう頭を下げ、信二の方を見てみると、スポコン漫画の主人公顔負けの笑顔がミチミチに顔面に広渡っていた。そして、店長には聞こえない小声でおれにつぶやいた。
「絶対やろうな!相棒!」
おれはなぜ自分を選んだのかという疑問を胸に抱えながらも信二の笑顔に心を踊らされていた。
「あ”あ”あ”ぁ”、つ”か”れ”た”ぁ”ぁ”」
信二のフィリピンの原付のような雄たけびに呼応するようにおれも雄たけびをあげ、仕事中頭に残っていた疑問をぶつけた。
「サウナとかでバチギマリしてぇな。てか、今日言ってた話、なんでおれが相棒なんだ?お前ならもっと才能のある奴周りにいるだろ。なんでおれなんか…」
おれが自分を卑下した瞬間、閃光のように信二が畳み掛ける。
「おまえなぁ!いっつもそうやって自分のこと悪く言うてるけどな、おれにないものめっちゃ持ってんやで?もっと自信もてよ」
信二の発言に驚きを感じつつも、おれの脳は嫌味としてでしか捉えようとせず、とっさに返した。
「おまえが持ってなくて、おれが持ってるものといやぁ、魔法使いになれる称号ぐらいだよ。自分でも言ってて悲しくならぁ」
するとまた、信二がにやけ出した。”嫌な予感だ。”
「おまえ、童貞なんか?」
”やっぱりだ。この手のイジリはもう懲り懲りだ。正直言って、なにも面白くないし、鬱陶しいだけだ。ちょっと異性と交わることができたからって、自分が優位に立ってると勘違いするような脳ちん野郎が思いつくような芸当だ。毎晩あの天音たんを弄り倒して、さぞ愉快でしょうな。へっ”
と、羨ましいという感情を放棄した結果、たどり着いた童貞の童貞による童貞のための僻みを心高々につぶやきながら、信二の方を見ると意外にもニヤケ面は治まっていた。そればかりか、なにか照れ臭そうに、目をそらし、こう続けた。
「実は…おれもなんだよ…」
え?
「いやいやいや、待てよ待てよ。おまえ天音おんのに、は?馬鹿なの?なにしてんだよ。なにしてきたんだよ。ナニで満足してんじゃねーよ!」
「いやさぁ、実は、黙っとったんやけど、天音さ、許婚なんよ」
頭の中が真っ白になった。おれがずっと先だと思ってたのに、心底嫌な気持ちになった。信二の衝撃発言で脳死した頭をフルで回転させ、言葉を絞り出す。
「は?じゃなに、おまえがここに来たのって、天音の紹介なのか」
「ん~、厳密には天音の親やな。ほんま、なんで好きでもないのに一緒のとこで働かにゃいかんのやろな」
”は…。こいつ…無神経にもほどがあるだろ。おれの気持ちもしらねぇで。”
おれの怒りは限界を迎えつつも、理性を気合で持ち直し、会話を続けた。
「てめぇ、もしかして、別に好きじゃねぇからって理由でしてないのか」
「まぁ、、そう、、やな(笑)。」
”こいつまじで殺す。ぜってぇ殺す。卒業式は目の前だってのに、しょうもない意地張りやがって。後輩が心配で留年する総長か。っていうか、それが本当なら、天音は処女か?ヴァージンなのか?最高じゃねぇか!じゃあさっさと天音おれによこせや!こちとら性欲たまってんだよ。性欲ゲージ1~9まで揃ってんだよ。処女膜、一気通貫してぇんだよ!”
迸る性欲を中心とした欲望のスパイラルを封じ込めつつ、漏れ出した欲が不満に形を変え、信二に言葉を突き立てる。
「じゃ、じゃあ早く別れろよ!てか、おれの目の前でのイチャイチャはなんだったんだよ!」
「実は、この店の店長、天音の叔母でな、まぁわかりやすく言ったら、おれと天音は監視されてるんよ。」
”そ、そんなこと、あ、ありえんのか。”
と迷いを感じながらも、どこかおれの心は水を得た魚のようになった。そうこうしていると、全ての幻想を打ち消したかのように、信二が話題をすり替えた。
「てか、Youtuberの話忘れとるやん。色々話し合いたいからさ、今度おれん家来いよ!」
”おいおい、おれはそんなことより、天音に興味あんだよ。そんなどうでもいいはなs… あ。”
その瞬間、おれの中の欲求という欲求がある計画書を脳の中枢に提出した。
「天音もいれてさ、トリオでやってみないか?」
誰かオフ会しよ。(かわいい女の子限定)
ホテル代はそっちが持てよ?