絶望、そして右腕。
それから、神獣様と交流し、決めたことがある。
神獣様は、学校のロッカーに置くことに決めた。
なぜって?
部屋に置いておくと部屋が荒らされるから。
今日も、いつも通りの日になるはずだった。
はず、だったんだ。
その日は、とても寒かった。
エアコンが自室に無かったので、神獣様で暖まろうと、そう思っていた。
神獣様を抱っこした帰り道、男性が話しかけてきた。
「あの、その動物……」
神獣様を指差す男性に、私は警戒した。
脳内アラート、レベル90000が鳴る。
なぜなら、それが杉浦人志の顔と酷似していたからだ。
「あの、レイスに用が?」
私は、神獣様をぺットとして扱うことに決めた。
直後、黒い刀身が神獣様目掛けて飛んできた。
「そいつを引き渡しな。」
威圧感のある声で杉浦は語りかけてくる。
私は、あまりの非日常に、思わす尻餅をついた。
まずい、このままだと私も殺される……!
神獣様を引き渡すしか、無いのか?
脳裏に、神獣様との思い出が蘇ってくる。
「いい訳、無いだろ!」
ふらふらと立ち上がった先に、また刀が飛んでくる。
「ああ、そういうと思ったよ。だから力尽くで奪わせてもらう」
「能力発動!テレポーテーション!」
私はテレポートした。
数糎先へと。
いや、実際には数糎しか進めなかった。
「お? どーした。逃げるんじゃ無かったのか?」
嘘、だろ……
「杉浦様、これでよろしいでしょうか。」
どこからか、白いセーター、黒の短パンとタイツに砂色のコート、灰色のハンチング帽子を身に纏った白髪の少女が出てきた。
目は閉じられていて、不思議で儚い雰囲気を漂わせている。
「ごくろーさん」
杉浦は、それに微笑んだ。
その隙を付き、私は逃げた。
いや、相手が逃したのかもしれない。
そんなことはどうでもいい。
家に向かって、走れ、走れ。
体がそう命令してくる。
確か、この近くにるるちゃんの家があったはず。
石田と書かれた表札の玄関を探す。
あった!
玄関前に、右腕の無くなったるるちゃんの体があった。
「あ、はは、ま、まぁ、なんとか、なる、でしょ」
私は、119番に電話をかけた。