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美少女たちの負けられない争い

前回までのあらすじ

愛南と日和の好感度を上げ

あとは一緒に写真を取るだけ

登校中に愛南に会い腕を組んでいると

日和に見つかってしまう


「ああ、日和おはよう」

 日和の機嫌がなぜ悪いのかはわからない、(大方飛月になにか気に障ることを言われたんだろうけど)とりあえず俺は日和の前まで行って挨拶をしてみる。

「おはようじゃない! ウチはなんで王真と水無瀬が腕を組みながら登校してきてるのかって聞いてるんだけど!?」

「別に、大した意味は――」

「もう、王真君、大空さんの前だからって恥ずかしがらなくてもいいのに、わたしたち今よりももっと仲良くなるためにこうして腕を組んでいるの」

 愛南は俺の代わりに勝手に日和そう返答する。

「もっと仲良くなるためって、それはあくまで友達としてなんでしょ? だ、だったらその距離感はおかしいじゃない、それじゃあまるで……」

「まるで、なんなのかな?」

「うぅぅ、お、王真! とにかく水無瀬から離れて! 今すぐに!」

「王真君、大空さんの言うことなんて聞かなくてもいいから」

 完全に板挟み状態になってしまった。

 学校に近づいて来たのと登校時間の所為か、ちらほらとではあるが登校してくる他の生徒も増え始めたので周りからの視線も鬱陶しいし、早くこの状況を打開しないといけない。

「愛南さすがに目立つしそろそろいいか?」

 いくらトリプルDだとか馬鹿にされている俺でもこれだけ好意に思ってくれて来てくれている女の子に対して無言で絡めている腕を外すわけにもいかず、好感度を下げないように丁重に優しく絡めてきている愛南の腕を外す。

「ナイス王真! そうこなくちゃね」

「ああ、王真君……」

 勝ち誇ったように腕を腰に当てる日和と寂しげな声を出す愛南は対照的だったが、これで事態は収束……。

「ひ、日和? なんのつもりだ?」 

「水無瀬と腕を組んでいたんだからウチとは手を繋いで歩こっ」

 日和は俺の手を握り笑顔を浮かべ、俺の左手を引き校舎へ歩き出したんだが、少し歩いたところで俺の右腕が後ろから追ってきた愛南の腕に絡められる。

「ちょっ、水無瀬なにしてんのよ!?」

「大空さんこそ、王真君になにしてるの?」

「水無瀬はさっきまで一緒に歩いていたんでしょ? だったら後はウチに譲ってよ!」

「悪いけど、王真君だけは誰にも譲れないの!」

 しばらく2人は睨み合ったまま動かず、このままだと校舎の中に入るのどれだけ掛かるのかわからないのでなんとか2人を説得し、教室に向かったんだが、その間、右腕は愛南に絡められたまま、左手は日和と繋いだまま歩き、ようやくクラスにたどり着いたところでなんとか2人には離れてもらえたんだが、ざわつくクラスメートたちを気にもせず2人はいがみ合いながらお互いの席に座り、俺も自分の席にようやく座れた。

 そして現在は昼休み、飛月と共に人気のない屋外のベンチ座り、飛月が作って来た弁当を一緒に食べているところだ。

「それにしても朝のあれはすごかったですね、トリプルDのくせに」

「あれは、不可抗力って言うか、流れでああなったんだよ」

「流れであんな美味しい展開になった、なんて言える男が世の中には何人いるのでしょうね?」

「なんかお前怒ってないか?」

「怒っていません、それより、どうするのですか? せっかく私が大空と少しでも早く交渉できるようにと大空を校門前へ行かせたと言うのに水無瀬と喧嘩させるなんて、険悪な仲になってしまった今の2人と一緒に写真を撮るなんて夢の又夢です」

「そうは言っても元々望みは薄かったんだし、とりあえず聞いてみてからだな」

「一応言っておきますが1パーセントと0パーセントは数字以上に違うものですよ」

 そんな忠告のようなものを受けながらも、俺は駄目元で2人に3人で一緒に写真を撮らないかと誘ってみたが、飛月の予想通り2つ返事で断られてしまった。


 ハーレム作り29日目。

 いつも通り飛月の作った朝食を食べている今日この頃。愛南を攻略してから今日に至るまで何度も一緒に写真撮ってほしいと頼んだが、色より返事をもらうどころか、何故か2人の仲はどんどん悪くなってるみたいで、最早どうしようもない。

「この際手段は選べません。2人を拉致して強制的にでも写ってもらうしかないですね」

 正面に座り一緒に朝食を食べている飛月がそんな物騒な提案してくる。

「そんな強制的に撮った写真を見てあの親父が疑問を持たないわけないだろ、下手したら不合格にされる。送る写真は出来るだけ映っている全員が楽しそうにしてる写真にしないと」

「なにを言っているのですか、そんなのは無理に決まっているじゃないですか、ここ最近の大空と水無瀬を見れば誰だってそれくらいわかります」

「それは……そうだよな、はぁ、どうすればいいんだ」

 今回の試験のために支給されている魔界用のカメラには好感度も映るフィルムが1枚しか用意されてない、つまりは一発勝負。失敗は許されないと思うと余計に気が重い。

「これから達成しないといけない条件は2つ、1つは女子たちが自ら写真に写ってもいいと思わせること、もう1つはハーレムらしく見える写真を撮ること。この2つの条件が整っている写真であれば間違いなくクリア出来るはずです。2つ目のほうには当てがあるので1つ目さえクリアできればあとは私がなんとかします」

「つってもな、あの2人を説得するのが1番難しいんだけどな」

「そろそろ意地にならずに私の考えた台本を使えばいいんじゃないんですか?」

「使わねえよ、つうか真面目な話この試験は次期魔王になるための試験。それなのに大事なところでお前に任せっきりじゃ話にならないだろ? これは俺が超えないといけないんだよ。心配すんな、たとえ失敗しても俺が親父に頼んで飛月だけでも――」

「なんですか、『飛月だけでも魔界に帰してやる』とか至極当然のことを今更言うわけじゃないですよね?」

「お前だけ魔界に帰るのは至極当然なのかよ!?」

「当たり前です、私のような優秀な魔族がこんなところで死んでしまうなんて魔界にとって大きな損失ですから。なんですかその顔は? まさかとは思いますが、この私が『私だけ魔界に帰るなんてできません、私はあなた様の使い魔なのですから死ぬ時も一緒です』なんてことを言うとでも思っていたのですか?」

「そうだな、お前はそんな忠義に厚い奴じゃないよな」

「そうです、私はこの試験の結果に関係なく魔界に帰ります。ただどうせ帰るなら……」

「『帰るなら』なんだよ?」

「……いえ、――ただ、どうせ帰るのなら魔王の使い魔として、つまりは出世して帰りたいと思っただけです」

「主を自分の出世の道具に使う使い魔なんて聞いたことねえよ」

 結局のところいい案は出ずに朝食を終え、俺たちは学校へと向かう。

 クラスに入り日和と愛南に挨拶をかわし自分の席へ座ると日和と愛南が俺の席に寄ってくる。昨日までのパターンなら2人は俺を挟んで言い合いを始めるんだが、今日は違った。

「はぁ、仕方ないですね」

 俺の席に寄って来た2人に対して飛月はため息を吐きながら呼び止め、廊下に連れ出したのだ。

 正直、2人の口喧嘩に巻き込まれるのは勘弁してほしかったから助かったんだが、飛月のことだ、ただ単に俺を庇ったわけじゃないだろう。

 そう考えると少し不安になってきて俺は飛月の後を追って廊下に出ると、日和と愛南が飛月の話を聞き終えてちょうど納得したところのようだった。

 日和と愛南は『王真、ウチ頑張るから』『王真君わたし絶対に負けません』俺にそう力強く宣言してクラス内に戻って行く。

 2人は言い争う様子もなくスッキリとした表情をしていたのでとりあえず安心したが、飛月があの2人になんて言ったのかが気になりとそれとなく聞いてみても、『このままでは埒が明かないので仲裁案を提示しただけです』としか言わなかった。


ここまで読んで頂きありがとうございます

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