そういうところ
前回のあらすじ
日和とのデートを再開
ファミレスで食事をする
日和が大食いなことを知る
愛南との関係の誤解を解いた
会計を終えた俺たちは外に出て、女子寮まで日和を送り終えると同時に深いため息が出る。
2人が鉢合わせになることなくやり遂げた安堵感と疲労感を抱えながらアパートに戻ってくる。
すぐにでもソファに寝転がりたかったが、リビングのドアを開けるとすでにソファは飛月に占領されていた。
「お帰りなさいませ、にに様」
「お前がソファに寝転がってる(正確にはうつ伏せに)なんて珍しいな」
「今日は色々あって疲れましたから、それより日和の好感度メーターがかなり上がっていますので今回のデートは上手くいったようですね」
「かなり綱渡り状態だったがな」
「水無瀬のほうも好感度微増ですし、もしかしたらにに様にはハーレムを作る素質があるのかもしれませんね」
「そんな素質があるなら、もっと上手くやってると思うんだが、それはともかくとして、お前が今日やってたことってほとんど尾行だけだろ、そんな疲れるもんか?」
「私をここまで疲労させたのは大空とのトークが原因です。どうやら私は大空と根本的に合わないようです」
まぁ、それは2人で喋っているところを見たときにそうじゃないかとは思っていた、明らかに飛月の笑顔が不自然だったし、それでも日和のほうは普通に話していたみたいだったからどちらかと言うと飛月のほうが日和に苦手意識みたいなもんがあるんだろう。
飛月は魔界にいるときから他の奴とコミュニケーションを取るのが嫌いと言うか下手と言うか、あの性格が主な原因みたいだが、本人はそれを全く直そうとしないし、そういう性格だから俺以外の誰かと雑談をしているところなんてほとんど見たことがない。
「お前と日和じゃ性格が違いすぎるからな」
日和は明るくて人懐っこくて笑顔が可愛い元気っ娘。
かたや、飛月のほうはクールで愛想がなくて毒舌な眼鏡っ娘。
真逆とまでは言わないが、この2人がどんな会話をするのかさえ想像できないほど相性が良くないのはよくわかる。
「それにしてもどうですか、2人の美少女をとっかえひっかえにデートする気持ちは? 男冥利に尽きるのではないですか?」
「男として言わせてもらえばたしかに悪い気はしないし、ラッキーなことだとは思うが、男冥利に尽きるとは思わねえよ。女だって俺と同じ立場になれば同じように思うだろうし」
「複数イケメンをとっかえひっかえに相手できればさぞ楽しいことでしょうね」
「なんでそんな他人事なんだ? お前だってそう思うだろ?」
「さぁ、どうでしょうね。正直言って面倒だと思いますし、なにより私は――」
「まぁ、たしかに大変だとは思うけど面倒だとは思わないな。でも面倒か、なんて言うか、お前らしいな。そもそも『私は一途ですので、好きな人に振り向いてさえもらえれば』みたいな、そんな純情少女みたいなことをお前が思ってるわけないか」
「……そうですね、私がそんなことを言いだしたらさぞ気持ちが悪いでしょうね、と言うか、私がそんなこと言うかもしれないと妄想するなんて本当に気持ちの悪い主ですね」
小さく舌打ちをした後、飛月の表情は無表情ではあったが明らかに苛立っている。
「いや、たしかにもしかしたらとは思ったけど、そこまで怒るようなことじゃないだろ?」
「……にに様が馬鹿なことは昔から知っていましたが、ここまでとは思いませんでした」
「馬鹿って、俺はそれなりに学があるほうだっただろ、そりゃあ、お前に比べれば馬鹿かもしれねえけど、お前だってある意味では馬鹿だしお互い様だ」
「私が言ったのは恋愛面のことです。もし恋愛と言う科目のテストがあった場合、にに様は確実に赤点です」
「そんなもん、恋愛経験がないんだからある程度は仕方ないだろ?」
「そうでしたね。にに様はトリプルDでしたね、さすがはトリプルD言うことが違います」
確実に馬鹿にされている。と言うかすでに馬鹿って言われているか。
それにしても、あの程度のことでここまで怒るなんて相変わらず沸点の読めないよくわからない奴だが、主としての広い心を持っている俺だからこそ、ここはとりあえず謝ってやるとするか。
「はぁ、わかったわかった。気持ちの悪い妄想をして悪かったな」
「……もういいですよ。にに様がそう言う主だってことは知っていましたし、それよりもうそろそろ夕食にしますか?」
「いや、作らなくていい」
「ああ、そう言えば先ほどファミレスで食事をとっていましたね」
「そうじゃなくて――」
「もしや、昼食べ過ぎたのが原因ですか? あんな馬鹿みたいな量を食べるからですよ」
「誰のせいだ誰の! つうか、そうでもなくて、俺は昼に食べ損ねたお前の弁当を食べるつもりだから夕食は作らなくていいって言ったんだよ」
飛月は呆気にとられている様子でピクリとも動かず、固まってしまった。
「飛月?」
「あっ、いえ、あまりに予想外の言葉だったので、弁当でしたらまだそこに置いてある私の鞄の中にありますけど、本当に食べるのですか? 自分で作っておいてあれですが、時間も経っていますし、わざわざ食べるようなものでもありませんよ?」
テーブルの上に置いてある飛月の鞄から弁当を取り出す。昼にも見た通りいつも通りの普通に美味しそうな弁当だ。
「弁当の中身は勿論だが、お前が朝早く起きて作ってくれた頑張りみたいなものだって無駄になるだろ? そう考えたら食べないと勿体ないだろ」
「……そうですか、ふふっ、臭いセリフですね、臭すぎます。そんな露骨なセリフじゃ女子は落ちませんよ」
「余計なお世話だ。だいたい臭いのはお前の作ったこの弁当の臭いじゃねえのか?」
「その心配はありません。腐敗対策にちゃんと防腐剤をふんだんに使っていますので」
「それを言われると一気に食欲が失せるな」
まぁ、そんなこんなあって弁当を全部食べ終え、それがよかったのかはわからないんだが、飛月の機嫌も無事戻ったようで珍しく鼻歌交じりに弁当箱を洗っていた。
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