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手紙と植物園

前回までのあらすじ

色々あったが無事日和の好感度上げに成功


ハーレム作り12日目。

 水無瀬みなせ 愛南あいな身長160センチくらいで体重は40キロ後半、眉まで伸びる前髪は綺麗に整っていて、後ろ髪は肩甲骨を覆うほどの長さで、色は綺麗な藍色、艶やかな黒の瞳と穏やかそうなたれ目が印象的な美少女、大人顔負けのグラマラスな体つきをしているらしいが、そう言う印象は持てない。何故なら水無瀬はいつもロングスカートを着用していて身だしなみもしっかりとしているから露出が少なくお堅い印象が強い。そんな容姿をしているせいか高校生離れした気品のようなものが体から溢れている。まとめて言うのなら名家のお嬢様のような和美人。それが水無瀬 愛南だ。

 何故水無瀬の容姿について語りだしたかと言えば、当然、次の攻略対象が水無瀬だからだ。

 今朝、飛月の奴が突然『次のターゲットを決めておきました』とか言って勝手に水無瀬を攻略対象にして、飛月が水無瀬についての外見的特徴を俺に教えてきたかと思うと、『今日から早速攻略を開始します。手始めにこれを決めてきてください』と飛月お決まりの無茶ぶりを指定され、現在はそれを実行し飛月と共にその経過をこっそり見守っているところだ。

「本当にあれ、上手くいくのか? くだらなすぎて悪印象を与えると思うんだが」

「前にも言いましたが、出会いと言うのはどれだけ印象に残るのかが大事なのです。相手の印象にさえ残れば、それが良い印象だろうが悪い印象であろうが問題ないのです」

 印象的な『出会い』と言うが水無瀬は俺たちと同じクラスなので、今更『出会い』と言うのも変だと思い一応抗議したのだが『水無瀬はにに様のことなんて気にも留めていないのですから出会いとしてカウントされませんし、そもそも水無瀬はにに様が同じクラスだと言うことも知らないかもしれません』と言われ反論しようと思ったが、よくよく考えてみれば水無瀬と話したことも無ければ挨拶を交わしたことさえも無いこと気づき、泣く泣く飛月の手紙作戦と言うものを採用することになった。

 手紙に印象的なセリフと会ってほしいと言うメッセージを書いて水無瀬の下駄箱に入れるという古典的な作戦らしいんだが、飛月曰く『水無瀬の外見的にそれがいいのです』らしい。

 その辺はよくわからないが、とにかく飛月の指示に従い印象的なセリフを授業中に考え、放課後制作した手紙を水無瀬の下駄箱に入れて、俺と飛月は水無瀬が手紙を読んでどんな反応をするのかを見るために、近くの柱に身を隠しながら下駄箱を監視しているわけだ。

「水無瀬が来ましたよ、隣にいる女子は友達のようですね」

「友達と一緒ってことは俺の手紙が水無瀬の友達にも見られるってことだよな、最悪だ」

「そんな落ち込むことですか? 攻略対象以外の女子にどう思われるかなんて別に問題ではありません、それにあの友達は完全にモブ顔ですから攻略対象になる可能性は0です」

「お前って、もう少し言葉を選べたら絶対に友達出来るのにな」

 随分な言いようについ自分のことを棚上げにしてそう言ってしまう。

「作戦に必要なら友達も作りますが現状必要ないので問題ありません。それに私には――」

 飛月はそこまで言うと言葉を止め、視線を下駄箱に戻すように指で示してくる。

 飛月の横顔から下駄箱に視線を移すと水無瀬が下駄箱を開けるところだった。

 ついに製作に6時間以上もかけたあの手紙が読まれるのかと思うとかなり緊張してくる。

 水無瀬は下駄箱の中に入っている俺の手紙を見つけたようで首を傾げながら手紙を開いて内容を見ると、一瞬固まったかと思うと小刻みに震えだす。

「ん? 愛南、どうかした?」

 そんな水無瀬の姿を見て友達が声をかけると、水無瀬は友達から顔をそらす。

 友達は首を傾げたが、水無瀬が手に持っている俺の手紙を見つけ、それを素早く奪い手紙に目を通して『なに、これ?』と不快そうにそう呟きながら水無瀬に手紙を返す。

「……わたしにもよくわからないの」

 深呼吸をした水無瀬は友達のほうへ向き変えりながら困ったような顔をする。

「それで、どうするの? まさかとは思うけどこの差出人に会わないわよね?」

「い、一応会ってみようかな、わざわざ手紙まで書いてくれたわけだから」

「そんなふざけたこと書いてくる奴なんて無視すればいいのに、あんたって子はホントにお人好しって言うかいい人って言うか、少し優しすぎると思うけど?」

「そんなことないよ、それじゃあ、わたしこの人に会ってくるから先に行ってて」

 友達にそう言うと水無瀬は俺が手紙で指定した場所へ移動し始める。

「どうやら、上手くいったようですね。それでは私たちも急ぎ移動し先回りしましょう」

 飛月はあらかじめ人を掃っておいた指定の場所への移動を開始したので俺もそれに続いて歩き出すんだが、俺の手紙を見て水無瀬が小刻みに震えていたように見えたのが少し気になる。

 水無瀬に気づかれないよう先回りして着いた場所と言うのは学校の敷地内にある植物園入口だ。

 その植物園は学校が管理していて当然生徒に無料開放しているものなんだが、建っている場所が校舎から少し離れているせいか、利用する生徒はほとんどいない。だから誰にも邪魔されずに攻略ができるだろうという飛月の考えで植物園に呼び出した。

 飛月は日和のときと同様、俺が言葉に詰まったときにカンペを出してフォローできるようにスタンバイし(インカムも着けてるけど)俺は水無瀬の到着を待つ。

「もしかして、わたしにこの手紙をくれたのって、君?」

 水無瀬は少し警戒しながらも手紙を見せるように掲げて正面の入り口から歩いて来た。

「わざわざ呼び出してごめん、初めまして俺は雉 王真」

「初めまして? 雉君ってわたしと同じクラスだよね?」

 飛月に『にに様のことなんて絶対に眼中にないはずですから、最初に自己紹介をしてください』って言われたからやったんだが、水無瀬の奴ちゃんと俺のことを覚えていてくれていたなんて、水無瀬は良い奴だ。

「いや、その、こうやって2人で話すのは初めてだったから一応な」

「それならわたしも一応名乗っておこうかな、初めまして、わたしは水無瀬 愛南、よろしくお願いします」

 水無瀬は丁寧な口調ながらも軽く一礼し、上品にニコッと笑った。

 動作1つ1つが気品に溢れているようで、飛月の情報通りの女子ではあるが言葉遣いは予想より柔らかいって言うか、もっとお堅いイメージだったけど一般的な女子より少し丁寧にした程度の口調に僅かながらギャップのようなものを感じる。

「それで、雉君はわたしになんの用なのかな?」

 今回は顔合わせ程度だったので、特に呼び出した理由はないんだが、なにか理由を言わないと怪しまれると言うか変な奴だと思われるので飛月にヘルプを出す。

 インカムを付けているのに頑なにそれを使おうとしない飛月から出されるカンペを横目で見ながら口を開ける。

「え、えっと、ここに水無瀬を呼び出したのは、水無瀬に2人っきりで会いたかったからだ」

「うん、それは知っているよ。手紙に書いてあったから、わたしが知りたいのはその理由のほうなんだけど?」

「『おい、水無瀬が少し困惑してるぞ』」

「『今のセリフでときめかないとは、随分鈍感な女ですね』」

 念のためにつけておいたインカムからそんな不満そうな声が聞こえてきたかと思うと、すぐに新たなカンペを出してくる。

「あー、そうだよな、ごめんごめん。水無瀬があまりにも綺麗だから緊張しちゃって」

「ん? わたしが綺麗だと、どうして緊張するのかな?」

「『恋愛がよくわかってない俺でもわかるぐらい、お前のカンペが水無瀬に全然響いてないんだが』」

「『……にに様、今回の敵はかなり強敵のようです。ここは戦略的撤退をしましょう、私は先に逃げますので』」

 飛月の奴はあっさりと逃げ出しやがった。主より先に逃げ出す使い魔があるかと叫びたいところだが、すでに取り残されてしまう。

 明らかに怪しむような表情に変化しつつある水無瀬と残されてしまい、助けもないこの最悪な状況どうすればいい、とりあえず会話を続けないといけないよな。それらしい呼び出した理由を答えないと。

「えっとな、俺が水無瀬をここに呼んだ理由は――そ、そう、転校してきて、せっかく同じクラスになったのにあんまり話したことなかっただろ? だから少しでもいいから2人で話したかったって言うか、親睦を深めたかったって言うか、まぁ、そんな感じだ」

 追い詰められたなかではよくやったと言ってもいい、それらしい理由を言えたことに若干の感動を覚えながら、水無瀬の顔が和らぐのを見て一安心する。

「なるほど、そういうことね。その気持ちは素直に嬉しいんだけど、もうすぐ部活があるからそろそろ行かないといけないの、いいかな?」

「あ、ああ、勿論、忙しいのに呼び出して悪かったな」

「ううん、わたしのほうこそあまり時間が取れなくてごめんなさい、あっ、そうだ! 最後にこれ、声に出して読んでくれないかな?」

 水無瀬は俺が書いた手紙を取り出して、俺が6時間以上かけて考え抜いた印象的なセリフを指で指す。

「別にいいけど、じゃあ言うぞ――『愛南、俺に会いな』」

 水無瀬に催促されて読んではみたが、これってどうなんだ? 俺的には印象的なセリフをつもりで書いたが、改めて声に出してみると聞く人によってはくだらないダジャレに聞こえるんじゃないか?

「あ、ありがとう、じゃあね」

 水無瀬は必死に笑ってくれているのか、顔を少し引きつらせながらクルリと反転し、来た道を走って行くのだが、その走っている姿はなんて言うか走り慣れてないって言うか、いかにも女子らしいって言うか、きっと運動が苦手なんだろうなと思わせる後姿が少し可愛く見えた。

 まぁ、スポーツ万能美少女である日和の印象が強く残っているので余計に水無瀬の走り姿が不恰好に見えたんだろうけど。

 そんなこんなで大成功とはいえないが、とりあえず印象的な出会いは達成できたと思い少し満足気な達成感と共に先に逃げ帰っているであろう飛月の待つアパートへ帰る。



ここまで読んで頂きありがとうございます

水無瀬 愛南登場回なので少しだけ長くなってしまいました

読みやすいように出来るだけ3000字を目安に頑張ります

引き続きこのペースで投稿していきますので

よろしくお願いいたします

高評価、ブクマ登録、感想などして頂けると頑張れますので

応援のほどよろしくお願いいたします。

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