表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

今朝の霧

作者: 山中千

冴えない主人公と学校のマドンナ

   「今朝の霧」

         山中千


 霧が立ち込めている。近くは見えるのだけれども、遠くは見えず。老眼の逆。

 そんな感覚に陥った朝だった。


 受験まで、4ヶ月をきった。

 日々努力を積み重ねているが、試験当日を思うと恐怖が立ち込める。前が見えなくなる感覚に陥る。

 人生で、始めて追い込まれたというこの凍てつき。現実。こんな試練が何度と続くとなると思うと、生きるのが億劫になる。


「おはよっ」

 この声はと思い振り返ると、やはり岬ちゃんだ。

 岬ちゃんは、母親が福岡の人でお目々がくりくりで、小柄で、ショートカット、今日は赤色のマフラーをしていた。

「おはよう」

声が緊張で、少し固くなる。

ふふっ、と笑った岬ちゃんが

「さすがにマフラーは、ちょっと早すぎたかな?」

「す、すごく似合ってるよ!」

「ほんとに?」

少し怯えた様子。

「ほんとに、ほんとに」

精一杯の相槌を何度もした。

「真司くんにそう言って貰えると、すごく嬉しい」

満開の桜のような笑顔。

 花より団子ではない!華だ!

「よかった」

「ありがとう」

とても丁寧なありがとうの言い方だった……。


 その後、志望高の話になった。

 真司は、難関私立を志望し、岬は保育士の夢のために専門学校に行くみたいだった。

 お互い地元を離れ、新天地に行くことを応援の意を示していたが、心の何処かで離れたくないと感じていた。


 将来という先は見えないが、手前の幸せというのは、くっきりと見える二人であった。

続きは頭の中にあります

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ