三人の駆け引きとその結末
3話読んで頂き有難うございます。
どうぞ楽しんでください。
「さて、朝飯も食べたことだし、行きますか」
圭輔は張り切った。
「その前に部活でしょ?」
紗綾は恨めしそうに言った。
「そうでした。そうでした。先に部活でした」
彼は硬直しながら自転車に向かった。
「ったく。私は12:00前に部活が終わるから、その後、高校に向かうわ」
「えっ?あっ。うん」
そして、それぞれの用事をしにいった。
12:30頃、圭輔の部活終了。
外に出ると、校門に紗綾が待っていた。
「やっと、来た」
「紗綾ちゃん。こんにちは」
「どうも、明美さん」
「相変わらず、可愛いね」
「有難うございます」
「で、今日も監視役かい?」
「当たり前です。許嫁なんですから」
「無理して許嫁という関係で小谷君を縛らなくていいと思うんだが」
「無理してません」
「君も自由な恋愛が出来るのに」
「もう愛してますから問題ありません」
んーっ、と二人は睨みあった。
「明美さん、紗綾、行こう」
「はい」
こうして圭輔の女子達との駆け引きが始まった。
「さてとまずは定食屋だな」
「……」
三人で席に着いて座った。そして、注文をして、彼等は黙った。
三人で緊張感が走る。つまり腹の探り合いである。
(静かだなぁ)
(何話すのかしら)
(下手なこと言えない)
「あの」
圭輔と明美が被った。
「どうぞ」
「いや、どうぞ」
「あの、部活のことなんだけど」
明美が言い始めた。
「あ、うん」
「バレーボールにもう少しこうしないと」
「成る程。手をもう少しこうか」
「そうそう。こうだね」
そうこうと部活の話していると、定食が来た。
「さぁ、食べよう。明美さん」
「あぁ、そうだね」
「……」
「うーん。明美さんの言うここの唐揚げ美味しいね」
「でしょ。外はカリッと中はジュワッとしてて、中の鶏肉はしっかり白い。」
「美味いわ」
紗綾はぼそっと言った。
明美は紗綾の表情を見てニヤッとした。
「で、食べたあは何をするんだい?」
明美は圭輔に問い、圭輔はドキッとした。
「えっ? いや~、それは散歩かな」
「ふーん、どこで?」
「それは~、そのーっ、ねぇ、紗綾さん。市内だよね?」
「私に聞かないで」
紗綾は怒りながら言った。
「ふーん、そう」
明美は淡々と言った。
そして、三人はご飯を食べ終わり、定食屋から出た。
「有難うね、小谷君」
「いえいえこちらこそ。美味しい料理有難う。では、学校でね。明美さん」
明美は手を振った。
「……さてと」
明美は続けてこう言った。
「後を追うか」
そして、
「さて次は城公園だ」
「……」
圭輔と紗綾は城公園まで歩いた。するとそこには、美咲が待っていた。
「あら、小谷君」
「やぁ、中条さん」
「それに、紗綾ちゃんまで。こんにちはー」
「こんにちは」
「許嫁も大変ね。わざわざ自分の時間を監視役に回さないといけないなんて」
「はい。タラシの許嫁を持つと大変です」
「許嫁解消すればいいんじゃない?時代は自由恋愛よ」
「自由恋愛し過ぎると婚期を逃したりしますけどね」
んーっ、二人は睨みあった。
「で、どう散歩するの、中条さん」
「普通にくるっと一周ね」
三人は歩き始めた。
「うん。木が生い茂ってて、夏が近いね」
「そうね」
三人はテクテク歩く。
「あら、こんな所に花が生えてるわ」
「本当だ。名前分かる?」
「いや~、名前は分からないわ。それはそうと昼御飯はもう食べたの?」
「……うん」
「何食べたの?」
「……唐揚げ定食だよ」
「ふーん。そっ。定食ね」
「……」
「城公園には博物館あるけど行く?」
「郷土の歴史はそこまで興味ないから」
「ここの庭園は確か有名なのよ」
「そうなんだ」
庭園は諦めて歩いていると、
「散歩すると気持いいわね~」
うーんと、美咲は伸びをしたので胸が強調された。
「そうだね」
圭輔は鼻の下を伸ばしながら言った。そして圭輔は耳を紗綾に引っ張られ、
「見過ぎ」
彼女はつねった。
「あ痛た」
「私は貴方と居ると、本当に落ち着くわ」
「本当?有難う」
「もし仮に紗綾ちゃんが愛想を尽かして、離れたらどうする?」
「紗綾が?」
圭輔はびっくりした。
「それは困るな……」
圭輔はしょげた。
「そう易々と貴方から離れはしないわ」
「紗綾……」
「……ところで。その後のご予定は何かしら?」
「えっと……確かおやつを食べに行くんですよね?紗綾さん?」
「私に聞かないでよ」
紗綾は怒りながら言った。
「ふーん、そっ」
そして城公園を一周した。
「さて、城公園も一周したことだし、また学校でね。中条さん」
「えぇ、またね」
三人は分かれた。
「さてと……」
美咲は続けて言った。
「尾行ね」
そして、
「次はタピオカだな」
「……そうね」
二人はタピオカのある店に向かった。
そこには晴美がいた。
「圭ちゃん。遅い~」
「ゴメン。ゴメン。腹ごしらえに散歩しててさ」
「何それ~。飲むだけなのに?」
「いや~、昼御飯沢山食べたから」
「昼御飯何食べたの?」
「?唐揚げ定食だけど」
「……そうなんだあ。紗綾ちゃん、こんにちは」
「こんにちは、晴美さん」
「元気にしてた?」
「まあ、そうですね」
「若い内から親が決めた相手って嫌でしょ?もっと自由欲しくない?」
「相手を気に入ってますので、問題ありません。只少し浮気症ですが」
「若い内の男子なんて血気盛んな年頃なんだから、そうよ。少し圭ちゃんを自由にさせないと」
「自由にさせてます。現に別の女性と居るんですから」
んーっ、と睨みあった。
「買おうよ。二人とも」
タピオカの店に着いた。
「ここか。タピオカの店は」
「そうなの~。是非飲もう」
三人は仲良く美味しく飲んだ。
「美味しい」
「美味しいでしょ」
「まぁ、悪くないわ」
そう三人が飲んでいると、
「あら、美味しそうね。私にもご相伴にあずかりたいわ」
「私も頂きたいわ」
「ん?わっ?!」
振り向くと、美咲と、明美が居た。
「二人とも、どうしてここに?!」
「それは偶々よ」
「そうね、偶々ね。それより、どういうことか説明してもらいましょうか」
圭輔は一連の事情を三人に話した。
「成る程、皆の意向を合わせるとこういう予定になったのね」
「じゃあ、仕方ない……にはならないんだから!」
「せめて日を改めるかしてよ」
圭輔は三人の美女に囲まれて喧々囂々と怒られた。
「……はい」
そして、計画をたてた張本人の沙也加が来た。
「あらら、怒られてる」
ニヤニヤしながら来た。
「良い物見せてもらっちゃった」
三人は怒った後、スッキリしたのか、沙也加を入れて四人でタピオカを飲んだ。
「美味しいね。ここのタピオカ」
「でしょ~」
四人でキャッキャした。
「はぁーっ」
「家に帰ろうよ」
「うん」
「家に帰ったら、折檻よ」
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