計画実行
土曜日。
調子が戻った圭輔だが、部活は周りからの反対で行かなかった。そして、昼ごろ、紗綾は高校の校門で待ち伏せし、部活終わりの美咲と晴美を見つけた。
「こんにちは、中条さん」
美咲はドキッとしたが、紗綾は可愛らしくニコニコしていたので、
「こんにちは、どうしたの?紗綾ちゃん?」
「ちょっと、用がありまして」
「へぇ、用ね……」
そして、美咲は少し警戒した。
「どんな用事?」
「それはですね~、あっ、市原さん、こんにちは。こっちに来て下さい」
「あ、紗綾ちゃんじゃない。どうしたの?」
いつもは他人に笑顔でハツラツとしている晴美だが、紗綾の顔を見るなりオドオドし始めた。
「お二人に用がありまして」
「へぇ、用ね」
「ここで立ち話はなんですから、少し歩きましょう」
「えっ、えぇ」
そして、二人はオドオドしながら歩いた。
「今日は良い天気ですね」
紗綾は声をかけたが、二人は曖昧な返事をする。
「あら、どうしました? 二人とも」
「……」
二人は暫く黙っていたが、晴美が耐えきれず先に口を開いた。
「何よ、何なのよ。どうせ用ってキスのことでしょ!?」
美咲は肩まで伸びた黒髪をなびかせながらギクッとした。一方、紗綾は微動だにせず淡々と答える。
「えぇ、そうですよ」
「もう、怖いんだけど。はっきりしてよ。どこまで歩かされるの? 私たち?」
「そうですね。あそこの川辺の公園に行きましょう」
そうして三人は公園に向かった。
「さて、貴女達に私からのお返しです」
「えっ」
「圭輔さんにプレゼントをあげたそうですから、そのお返しです」
「……」
二人は黙ってしまった。
「嘘よ。私はまだ何もあげてないわ」
「そ、そうよ……ね、市原さん」
「キスという名のプレゼントです」
「……」
「さぁ、受け取って下さい」
「嫌よ。受け取れない」
晴美はだっと逃げ出した。
「えっ、市原さん?」
美咲は叫んだ。
「逃がさないわ」
紗綾が叫ぶと、沙也加が現れ、晴美を通せんぼした。
「どいてよ」
「どかないわ」
「裏切るつもり!?」
「いや、元から組んでないけど」
そして、止められたのが仇となり、晴美に近づいた紗綾は晴美の首に軽くチョップし、晴美を気絶させた。
気絶した彼女を美咲の近くに運ぶ。
(えっ、何、何が起こるの??)
「はい、プレゼントです」
「……有難うございます」
渡したのは小さな箱だった。そして中に入っていたのはシュークリームである。
「食べてみて」
「は……はい」
食べてみた。美味しかった。
(あら、美味しいじゃない)
そして、真ん中までパクパク食べていると、
「えっ?!辛っ!!」
真ん中に達すると、辛子の塊が入っていた。
「えっ、ちょっ辛い!!」
そして、気絶している晴美の口にそのシュークリームを半分に割ってぶち込んだ。晴美は目を覚まし、
「えっ、辛い!!何何??」
二人は辛さに悶えていると、
「ほらほら、お水」
水を渡し、二人はごくごく飲んでいると、
「ぶはっ!何これ?!」
「水に唐辛子のエキスが入っているじゃない」
二人はゲホゲホいっていると、
「最後に~」
紗綾がニヤニヤしながら、二人の唇にチューブの山葵を塗りたくった。見ている沙也加はうわっとした顔になった。
「ぎゃーーー」
二人は叫んだ。
「はーっ、スッキリした。いい?またこんなことしたら、また仕返しするから」
紗綾は言ったが、二人はそれどころじゃなく、急いでトイレに向かった。
「さぁ、帰ろうか。姉さん」
「えっ、えぇ」
(我が妹ながら凄い……)
既に三時くらいになり、姉妹は家に帰っていた。
「成功ね。姉さん」
「二人の美人の顔がが台無しだったわ」
「まっ、キスされて、復讐しない許嫁はいないわ」
「そうかもしれないけど」
「それに今日は……」
「どうしたの?」
「いや。なんでもないわ」
(そう、この休みは圭輔さんとデートの予定だったのに……)
そして、二人は家に帰った。
「ただいまー」
「お帰りー、今日は遅かったな。」
「遅くなるって言ったじゃない。ねっ、姉さん」
「そうね」
一方、その頃二人は公園で、
「ぜえぜえ。やられたわっ」
「口の中がヒリヒリするーーっ」
「まさか、こんな仕返しが待っているとは……」
「どうするの? 圭ちゃんのこと」
「ふふ、断然燃えてきたわ。障害の大きい恋に、私はどうも燃えるみたい」
「ふふっ、あら意見が同じじゃない」
「あら、そう。共通の障害がある間は一旦休戦しない?」
「分かった。ok~っ」
そして二人は薄くて脆い同盟を組んだ。
「勝つわーっ」
「えい、えい、おーーっ」
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