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姉妹共謀

楽しんで下さい。

 曇り空の下の体育館裏で、圭輔は呆然と立っていた。

 そして予鈴のチャイムが響き渡っていた。

(何が、どうなった?キス……されたのか?)

 色々考えたが、考えが纏まらない。

(紗綾に合わす顔がない……)

 そして、仕方なく本鈴のチャイムの時間が近づいて来たので、圭輔はクラスに戻った。

 授業が終わり放課後。部活の時間。

 二つの件を忘れるように部活に専念した。

 休み時間。


「やぁ、小谷君」

「明美さん」

「今日はいつもより気合いが入ってたね。どうしたの?」


 圭輔はドキッとしたが、


「別になんでもないです」


 ふいっ、と目線を反らしながら言った。


「……そうか、私に言えないことをした訳だ」


 圭輔はギクッとして、


「いや、そんなことは」


 そして、あたふたしたが、


「冗談だよ」


 圭輔の鼻を指でつんとした。


「まっ、部活頑張れ」

「……うん」


 今日は部活終わりの自主練を辞退し、そのまま帰っていた。


「はぁ、早く帰っているとはいえ、家に帰りたくないなぁ」


 雲も少し無くなり、夕日が射していた。

 家に帰りたくないから、自転車をこがずに、歩いて帰っていた。


「二人からキスか……」


 圭輔の鼓動が高鳴った。

(あ~、考えるな、考えるな)

 そして、顔を横に振った。

 そしたら気づかぬ間に家に着いていた。


「ただいまーっ」

「圭輔さん、大丈夫?」


 紗綾は心配しながら圭輔の所に駆けつけた。圭輔はドキッとしながら、


「えっ、どういう意味?」

「なんか朝方に中条さんからラインが来て、『なんか様子がおかしい』って。朝から何かあったの?」


(そうか、だから……)


「いや、何もないよ?」

「本当? 調子が悪いんだったら、病院に……」

「何でも無いったら!!」


 圭輔は叫んだ。


「……そう。ないなら別にいいけど」


 紗綾は圭輔を心配そうに見ながら、キッチンの方に歩いて行った。

 圭輔が靴を脱ぎ、廊下を歩いていると、沙也加と京香が心配そうに見ていたが、声はかけなかった。

 晩ご飯を食べ、静かに部屋に行った。そして、三人はひそひそ話をした。


「あれは何かあったわね」

「ショッキングなことかしら?」

「うーん、何でしょうか?」

「ご飯食べたら、私の部屋に集合ね」

「了解」

「分かりました」


 三人は食べ終わり、まずは沙也加と京香が沙也加の部屋に集まった。


「あれは聞けないわ」

「確かに」

「多分容易ならんことが起きたわね」

「なんでしょう?」

「小テストの点数が悪かった」

「お兄様は小テストの点数でああにはなりません」

「分かっているわ。一つずつ潰していってんの」

「成る程。」

「で、他に思い当たる節はある?」

「私はあんなお兄様は初めてで分かりません。いつも温厚でタラシですが女性に優しいですから」

「確かに……」


 うーんと二人は考えた。そうしたら、紗綾が入って来た。


「ちょっと紗綾。いつもの三人にラインを送って圭君の外での様子を聞いてみてよ」

「わ、分かったわ」


 こうして紗綾は三人にラインを送った。

 明美からは『なんか妙だった』というだけで、二人からは二時間待っても既読スルーのままだった。


「まっ、連絡あったら私に教えてね」

「……うん、分かった」


 紗綾は部屋を出て、自分の部屋に向かった。


「ドキドキするわね」


 そして、ドアを開けると、そこには圭輔が土下座していた。紗綾はギクッとなり、


「ど、どうしたの、圭輔さん!?」

「面目次第もない!!」

「何を言ってるの、頭を上げて、ねっ!」

「いや、頭を上げれない!!紗綾に僕は申し訳ないことをした」

「一体、学校で何があったの!?」

「それは……」


 圭輔は口を濁した。


「……言えない」

「……この期に及んで言えないってどういう意味よ!?」

「……」

「まさか、言えないことをしたの……?」


 圭輔は無言だった。


「一体、何をしたの?」

「……」

「そ、分かったわ。私、暫く姉さんの部屋で寝るから」


 紗綾は少し強めの口調で言って、沙也加の部屋に行ったが、『生憎この部屋は二人まで』と言われ、追い出された。

 紗綾は仕方なく少し圭輔と距離を置いて布団を敷き横になった。

 し~んとしていた。

(はぁ、全く、どうしたら良いの?)


「紗綾、ゴメン」

「えっ?」


 紗綾は圭輔に近づいて見てみると、寝ていた。


「なんだ。寝言か……」

「紗綾ゴメン。紗綾ゴメン。紗綾ゴメン……」

「……寝ながら懺悔してるのね」


 そして紗綾は携帯を見たが、二人から連絡が無かった。

 沙也加の部屋に行き、


「姉さん。この二人を問い詰めといてくれないかしら?」

「圭君のこと許すの?」

「寝ながら、懺悔されちゃあ、怒るに怒れないわ」

「寝ながら懺悔してるんだ」


 沙也加は失笑していた。


「分かったわ。二人に会ってみる」


 次の日。

 圭輔は根を詰め過ぎたのか、熱を出した。


「うーん」

「大丈夫よ。今日は私がいるから」


 そして、昼休み。体育館裏に沙也加は晴美と美咲を呼んだ。


「やぁ、お二人さん。タピオカ以来ね」

「……そうね」

「で、話って?」

「圭君のことよ」

「……あぁ」

「今日、小谷君休んでいるそうだけど、大丈夫なの?」

「えっ、圭ちゃん休んでいるの?通りで朝に会わなかった訳だわ」

「で、何か圭君のことで何か知らない?」

「……」


 二人は顔を赤らめ、目を反らしながら黙った。

(やっぱり何か知っているわね)


「圭君、昨日うなされて、懺悔してたそうよ」

「!」

「可哀想な圭君。うなされるほど嫌なことがあったのね。」

「嫌なことって何よ!? ただキスしただけじゃない!!」

最後まで読んで有難うございます。

さて、どうなる?

読者様からブックマーク、感想、評価頂き、励みになっております。

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