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圭輔、告白される

楽しんでください。

 水曜日。


「はー、うーん」


 圭輔は朝から伸びをしながら、一日の幸せを願った。

(今日は何事もありませんように)

 朝ご飯を食べ、通学した圭輔。


「おはよう、圭ちゃん」

「おはよう、晴美ちゃん」

「今日も良い天気だね」

「全然雨が降らないって思うくらいだ」

「確かに」

「で、テストを諦めた晴美ちゃんは部活に勤しんでいるかい?」

「勿論よ。当たり前じゃない」

「そうか。それは良かった」

「そう言えば、クラスの女子で貴方に好意を寄せて、相談に来た子がいるんだけど」

「えっ?」


圭輔は動揺した。


「へぇ、そうなんだ……」


(気持ちは素直に嬉しい、嬉しいが、僕には紗綾がいるからな。昨日みたいに怒ると大変だ)


「どうしたら良いかしら」

「イヤイヤ、僕に聞かれても」

「それもそうね」


(全く、危ない、危ない)

 そうこうしている内に学校に着く。


「じゃね。圭ちゃん」

「おう」


 そして圭輔はクラスに行くと、


「おはよう、小谷君」

「おはよう、中条さん」

「宿題は終わってるかしら?」

「今日は終わっているよ」

「あら、そう」

「だから小説を読む」

「そう。今日は邪魔しちゃ悪いわね」

「大丈夫だよ。近くにいても」

「あら、そう。相変わらずなんだから」

「何が?」

「そう言う所よ」

「だから、何が?」

「何でもないわ」


 美咲はふふふ、と笑った。

 昼休み。

 昼ご飯を食べていると、あのーっ、と声をかけられた。


「はい」

「小谷君、少しお話ししたいのですが」

「えーと、君は?」

「5組の石原です」


(晴美ちゃんと同じクラスの)


「で、話とは?」

「あの、出来れば体育館裏に来てくれませんか?」

「えっ、あっはい」

という訳で二人は体育館裏に行った。

「で、話とは」

「実は私、小谷君のことが前々から好きで、もし良かったら付き合ってもらえませんか?」


(あぁ、多分この子か……)


「ゴメン。僕には好きな人がいるから付き合えない」

「そ、そうですか……、因みにどんな方ですか?」

「えっと、基本は優しくて、家庭的かな?」


(怒ると怖いけど)


「同級生ですか?」

「うんうん二つ下」

「そ、そうですか……分かりました。有難うございます」

「いやいや、ゴメンね。意に添えなくて」


 こうして石原は去った。

(少し可哀想なことしたかな)

 放課後。部活で明美の指導を受け、圭輔は家に帰っていた。


「?」


 少し背後が気になったが、そのまま帰った。


「あら、お帰りなさい。圭輔さん」

「ただいまーっ」

「あら、圭君。お帰りーっ」

「あぁ、ただいま」

「あら、お帰りなさい。お兄様。」

「あぁ。ただいま」


 こうして、いつものように晩ご飯を食べ、三人で部屋に集まり話をした。


「今日5組の子に告白されてさぁ」

「へぇ」

「勿論、断ったんだけど、まあまあ可愛い子だったんだけどさ」

「へぇ、どんな感じの子だい?」

「静かそうな子だったな」

「ほう」

「少し可哀想なことしたかな」

「また、不幸な子がこの世に生まれたわけだ」

「おいおい、そこまで言わなくていいんじゃないか?」

「お兄様の女性を惹きつける能力はまことに罪ですね」

「おいおい、そこまで言わなくても」

「ふふふ」

「ははは」


 そうして三人は盛り上がった。

(全くもう、紗綾にこのこと聞かれたら、また妬かれるじゃないか)


「ところで君たちこそ告白されたことないの?」


 圭輔は二人に聞いてみた。


「私は告白されますが、お兄様がいるので断っています」

「えぇ……、本気で相手にそう答えているのか?」

「まさか、流石に大切な人がと答えてます」

「沙也加ちゃんは?」

「私は……」


 二人はじーと見ていた。


「まぁ、大切な人がいるから、と答えているわ」

「へぇ、沙也加ちゃんにもそう言う人がいるんだ」


 そして圭輔は興味をもった。


「気になりますね」

「はい、この話はお終いね」

「え~~、気ーにーなーるー」

「気持ち悪い人には話さないわ」

「えっ、きもっ……」


 圭輔はしょげた。


「気持ち悪かった?」

「えぇ、少しだけ」


 そうしたら紗綾が部屋に入ってきた。


「うーん、疲れたーっ」

「お疲れーっ」

「お疲れーっ」

「お疲れ様です」

「何の話してたの?」

「今まで告白された経験があるかという話」

「……あぁ、そう」


 紗綾はその話で先日苦い経験があるので、それ以上言わなかった。


「今日、圭君。告白されたんだってーーっ」


 沙也加はニヤニヤしながら言った。


「おい、こらっ」


 そして圭輔はひやっとしながら、紗綾を見た。


「あらっ、そう」


 興味なさそうに紗綾は答えた。三人はありゃっという感じになった。


「つまんなーい。私、部屋に戻るわ」

「わ、私も」


 そして、二人は部屋から出て行き、部屋は静かになった。


「えと、僕のこと怒らないの?」

「怒れる訳ないじゃない」

「そ、そう?」


(そう、怒れる訳が……)

二人は黙ってしまった。


「あ、あのさ、二人でデートするか?」

「えっ?」


 紗綾はドキッとした。


「えと、どうして?」

「偶には許婚孝行したいと思って」

「あら、珍しいことを。明日雨じゃないかしら」

「いや……かな?」

「嫌じゃ無いわ。行きましょう」

「そう、それは良かった」

「いつ行く?」

「今週の土曜日にしよう」

「そう、それなら大丈夫ね」


(いやーっ、良かった)


「ふふっ」


 二人は微笑みあった。


「じゃあ、僕小説読むから」

「あら?今日はもう話しないの?」

「明日、中条さんと小説の話をするから」


 紗綾はぴきっと来た。


「何?私の話より中条さんとの会話の方が優先なの!??」

「あっ、いや違うよ??」

「じゃあ、なんで小説読むのかしら?」

「えっと、それはその~っ」

「もう、圭輔さんのことなんて知らない!」

「えっ、あっえっ??ゴメン、ゴメン」


 紗綾はぷいっと反対方向を向き、圭輔はあたふたと弁解をし始めた。

最後まで読んで有難うございます。

いつもの二人です。

読者様からブックマーク、感想、評価を頂き、励みになっております。

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