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紗綾の駆け引き

楽しんでください。

「咲が……、そうか。思春期真っ只中だなぁ」


 圭輔はしみじみと言った。


「まあね」


 紗綾は淡々と言った。そういう所は無頓着らしい。

 そして晩御飯を食べ終えたら、紗綾の部屋でいつもの様に三人が集まっていた。

 圭輔は小説を読み、二人はスマホをいじっていた。


「あっ、そう言えばお兄様。高校総体近いですね」

「あぁ、そうだな」

「どうですか。総体に向けて頑張っておりますか?」

「あぁ、頑張ってるぞ」

「ところで部活の女子はタラシてませんか?」


 圭輔はドキッとしたが、


「別に」


 圭輔は答えたが、京香は見逃さなかった。


「居ますね」

「タラシてはいない。ただ仲の良いだけだ!」

「本当ですかねーっ」

「本当だって」

「お兄様からしたらそうでも、向こうはそうとも限りませんよ」

「うっ、えっ?」


 圭輔は戸惑った。


「沙也加ちゃんは明美さんのこと知ってるから分かるよね?ね?沙也加ちゃん」

「うーん、あれは好感を持たれているよね」


 京香はじっと沙也加の方を見た。


「……成る程、そうですか」


 京香は圭輔に近づき、


「兎に角、お兄様は無意識に女子をタラシ込むんですから、気をつけて下さい」

「はい……」


 暫くすると、紗綾が入ってきた。


「はぁ、洗い物終わった」

「お疲れ~」

「なんで、最近ここに集まっているの?」

「私はお兄様と昨日ぶりに会って、久しぶりなんですから、近くに居たいのです」

「私はまぁ、圭君に意地悪したいからいるの」

「?」


 京香は沙也加の発言に違和感を覚えたが、なんとなく聞くのを止めた。


「……そう。なら仕方ないわね」


 紗綾は宿題をし始めた。


「あっ、いけない」


 三人は宿題を忘れていたので、二人は宿題をしに沙也加の部屋へ、圭輔は宿題をし始めた。

 カリカリ、カリカリ。

 シャーペンの音が聞こえる。

(ふー、宿題面倒くさいなぁ)


「……」


 二人は無言で宿題をしていた。

(そうだ。圭輔さんを少し驚かせてやろう)


「そう言えばあのね。圭輔さん」

「何?」

「私ね……」

「うん」

「男子に告白されたの」

「えっ?そうなの?」


 圭輔は驚いた。


「えっと、それで?」

「それでね。保留にしたの」

「えっ?どうして?」

「そりゃあ、格好よくて、スポーツも出来て、何処かのタラシと違って一途そうだから」


(けど、本当は断っているんだけどね、さぁ、圭輔さんはどうでるか?)

 一方圭輔はそうとも知れずオロオロしていた。

(紗綾に何だって?告白?まぁ、確かに可愛いくて、優しくて、ある程度家庭的で、空手は強くて……)

(圭輔さん、動揺しているわ)

 紗綾は珍しくニヤニヤしていた。

(どう答えたら良い、この浮気者とも言えないし……まだ浮気してないし、僕の方がよくタラシているし……)


「どういう気持で保留にしたんだい?」

 圭輔は紗綾に尋ねた。そして紗綾はドギマギしながら、


「そ、そうねぇ。圭輔さんがよく他の女子と楽しくやってるんだからあ、私も良いのかなぁって」

「けど僕は告白されたことはないよ」

「けどよく遊んでるじゃん」

「うっ」


 圭輔は黙りこくった。

(言えない。振れなんて、言えない……)


「そ、そうか。紗綾がその気があるなら好きにすれば……」


 圭輔は紗綾に視線を外しながら言った。


「本気で言ってるの?」

「本気ではある」

「……」


 紗綾は無言になった。圭輔はちらっと紗綾の方を見た。

 泣いていた。

 圭輔はドキッとした。


「えっ、ちょっ、えっ?なんで泣いているの?」

圭輔はおどおどした。

「私のこと……どうでもいい訳?」

「どうでも言い訳ないだろ?言い訳ないから、その、選択を自分でだな……」

「出てって!!」

「えっ?」

「この部屋から出てって!」

「えっ、ちょっと、わっ」


 紗綾の部屋から追い出された。

(何だよ、何なんだよ……)

最後まで有難うございます。

許嫁の危機か?!!

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