第1話 死神
新しい物語作りました。読んでくれたら嬉しす。
学校からの帰り道、横断歩道の信号が赤から青に変わるのを待っている僕の横を、1匹の猫が通り過ぎていった。
痩せ細っていてかなりフラついている。今にでも倒れそうな猫だった。
その猫は道路を半分渡るか渡らないかな所でトラックに轢かれた。
突然の出来事だった。目の前を歩いていた小さな命は一瞬にして消えようとし始めたのだ。
トラックは何事も無かったかのようにそのまま走り去る。
僕は前方に飛んだ猫を見つめていた。ピクリとも動かない、生きているのならこのまま動物病院へ連れて行って助けてあげたい。だけど死んでいるのなら何もできない。
その時、猫の体から小さな光の玉が上空へ浮遊していった。その玉はまるで天へ向かうように、元の場所へ還るように、持ち主の手元に戻っていくように。そんな風であった。
しかし、その玉は10メートル行ったところだろうか。突然パッと消えてしまった。
僕はこの猫が死んだということを静かに悟った。
その日の帰り道、僕は泣いた。
※※※※※
それから9年後、またしても目の前で1つの命が消え去ろうとしている。
俺の姉だ。
俺こと新生 天弥の姉、新生 夜月は、俺と両親に看取られながら自分の部屋のベッドで寝込んでいた。
姉はとても活発で、とても優しく、とても美しい。そんな誰からも愛される女性だった。
そんな姉が5年前の20歳、ALS(筋萎縮性側索硬化症)になった。最初は手足の痺れが続いていて、近くの病院で診ても原因が分からず、薬を貰ったのだが全く治る気配が無く、今度は大きな病院へ出向いた。
そこで姉の病気が治ることのないものだとわかった。
この病気は若い頃にかかることなんてごく稀で男女比だって女性の方が低いのだ。
そんな低い確率なのに姉は引き当ててしまった。5年経った今でも俺は納得できていない。
なんで姉が?そんな疑問がずっとまとわり付いている。
この5年間で姉は少しづつ体の自由を奪われていって今は人工呼吸器に繋がれて喋る事も体を自由に動かすこともできず、見ていて胸が締め付けられる。
姉は眼球を動かして部屋の窓の夜空を見る。時刻は24時になろうとしている。今夜は満月が輝いており、星空がまんべんなく散らばっている。まさに風月無辺だ。
そんな夜空さえまともに見ることの出来なくなった姉の姿に俺は思わず涙が出てしまう。
それは両親も同じらしく、母さんは膝から崩れ落ちて赤ん坊のように泣いている。
父さんは時間が止まったかのように目を赤くして姉だけをじっと見ている。
ーそしてー
12時10分、姉は息を引き取った。
本当はまだ生きているんじゃないか?その閉じた目がもう一度開くんじゃないか?疲れて寝てるだけじゃないのか?
姉の死を俺は必死に否定しても姉の体から出てきた物を見て絶望する。
9年前見たあの光景と一緒だ。その魂は上へ上へと元の場所に還るように、持ち主の手元へ戻って行くように天へ昇る
俺は必死に手を伸ばしその魂を掴もうとする。だけど魂は、水を掴むことが不可能なことと同じで、俺の手をすり抜けていき、天井さえもすり抜けて行った。
「ぁあああああああああ!!!」
俺は壁を叩きつけて泣き叫ぶ。
だが、行き場のない慟哭が残るだけで何も変わらなかった。
人というのはこんなにも簡単にいなくなってしまうのか。俺は16歳にして命の儚さを痛いほど知った。
※※※※※
姉の葬式には、たくさんの人が来てくれた、
小中からの友達や高校から大学までの友達、沢山の人が姉のために涙をながしてくれた。
本当に姉はみんなから愛されていたことを実感した。
俺は家族が1人失った喪失感で2週間経った今でもなにも手につかない状況だった。
放課後、このままじゃいけないと思い家には帰らず、1人で寒くなった町を歩き気分を変えようと思った。真っ暗な夜空は俺の心を表しており、鋭く冷たい風が悲しみを煽る。
町を歩いていたら夜の7時半になり、俺は家へ帰ることにした。
帰り道は人と会うことなんてほとんど無く、住んでいるのか分からない辛気くさい住宅が増え始め、なんとも薄気味悪い感じがする。早く家に帰ろうと、少し小走りになるが、横から不気味な音が聞こえ、足を止めその音がする方へ首を向けた。
家と家の間、人1人が通るのでやっとな道、そこに何かがうごめいていた。
時刻は冬の7時半過ぎということもありかなり暗い。だがその中でも何かが動いているのがわかる。
犬?いや、犬にしては大きい。
ムシャ
そのとき、俺がさきほど聴いた不気味な音がまた聞こえた。
やはり野良犬かなにかなのか?ゴミでも漁って食べているんだ。でもゴミ箱やゴミさえどこにも・・・・
雲で覆われていた月がようやく顔を出したらしく、薄い光がそれを照らし出す。
瞬間、俺は目を見開いた。
そこにいたのは犬なんかではなく、ましてや生物と言っていいかどうか怪しい者だった。そして、その側には倒れ込んだ男性の姿。
俺はあまりの事にその場で倒れこむ。
その音で気づいたのか、異形の者はこちらを赤い目でギラリと見る。体は上半身だけしかなくローブを着ていて、上半身は人間の構造と似ている。無気味なのが骨でしか構成されてない事。手には鎌を持っていて、もう片方の手には光の玉。それに噛みついて口に入れ、ムシャムシャと食べている。
その姿を見て俺の脳裏にこんな名前が浮かんだ。
死神。世間一般が想像するそれと酷似していた。
「お前、俺が視えるのか?」
なんとその死神は俺に喋りかけてきたのだ。
「視えるんだな、視える魂は美味そうだな。」
死神はこちらに近づく。今あいつが俺にしようとする事が手に取るように分かった。おそらく俺を殺す事だろう。
殺す?
殺されるのか?俺は。
死ぬのか俺は?
死?
血の気が引き、全身から冷や汗が流れ出す。ゆっくりとこみ上げる恐怖。
逃げなきゃ、早くここから。
そう思っても体が言うことを聞かない。その間にもジリジリと死神はこちらに近づいてくる。誰か、誰か助けてくれ
「あ、う・・・・うあ」
言葉がうまく出ない。ヤバイ、このままだとあの男性みたくなる。
「いただきまーす」
そう言って死神は俺に鎌を振りかざす。
「うあああああああ!」
終わった。
こんなところで訳も分からなく死ぬのか、やっと動くようになった腕を頭の前にだし、目をガッチリと閉じる。
・・・・ ・・・・ ・・・・
・・・・ ・・・・
・・・・
何秒経ったのだろう?痛みも何も感じない。本当はもう死んでしまったのではないだろうか。周りが真っ暗なのはもう死んでしまったからなのでは?
だけど俺は目を開けれる事に気付き、ゆっくりと目を開ける。
開けた途端、俺は自分の目に移りこんだ景色にまたもや驚愕する。
なんと、俺の前にはもう1人の死神と思われる者がたっていて、相手の鎌を自分の片腕で防いでいる。
「危なかったな天弥、俺が目を離してる隙にこんな目にあってたなんて」
なぜこの死神は俺の名前を知っているんだ?
「お前・・・・なぜ邪魔をする。」
「なぜって、約束を守るためだよ」
そう言ってもう1人の死神はもう一方の片腕で相手の胸と思われる位置に拳を入れる。
すんでのところで相手の死神は交わし、後ろに下がって距離を取る。
その時まだ俺は知らなかった。なぜこの死神が俺を助けてくれるのか。
そしてこれから待ち受ける様々な出来事に。
小説を書くコツみたいなのを読んでたとき、その内容で「他のストーリーを思いついても自分が今書いてる物語を絶対終わらせましょう」と書いてあり、俺もそうしようと思ってたのですが普通に他の作品書きました。書き溜めてあるので毎日とはいかないかもだけどどんどん頑張って投稿しますのでぜひ応援してくださいまし。