第1章:かなり最低な男女の出会い プロローグ
とりあえずかなり都合のいいパラレルワールドでの話なので、現実との乖離は笑って許してください。
文系のおっさんには理系の知識がほぼ皆無です。
プロローグ
その日は、いわゆるハロウィンってやつだった。
街には思い思いのコスプレをした若い連中があふれかえり、本来の意味でのハロウィンなんか理解してるやつはいないんじゃないかって感じの宴会というか、屋台やらバーやら酒屋の店頭でも焼き鳥売ったりフライドチキン売ったり生ビールだのワインだの、乱痴気騒ぎの種にしかならん感じで酒と食いもんを提供している。
そんな喧騒の中、18時定時のところを20時過ぎに会社を出て、明日が休みだから行きつけのバーか居酒屋にでも行って軽くひっかけてふて寝するかなと思ってたら、このありさまだった。
当然店はどこも満員で、生活にくたびれたおっさんが腰を下ろす隙間は物理的にも精神的にもない。
そんな風にあぶれた中年が流れ込むような立ち飲み屋ですら、今日に限っては若者により立錐の余地もなく、心太のごとく押し流されたおっさんの身には、せいぜいがコンビニで缶ビールという名の発泡酒でも買って、安い乾き物のつまみでも買う程度しか選択肢が出てこない。
一昔前のRPGなら、選択肢も現れず、強制的に翌日まで宿に泊まって次の日を待つくらいしか手がない。
いずれにせよ、独り者のおっさんがこの喧騒に身を置くのは、正直生き地獄だ。
ただでさえ、リア充なんて連中とは別世界なくらいの場所で生きてるのに。
結局俺は、大半の欲求をあきらめて、帰宅途中のコンビニで発泡酒すら止めて、アルコール度数だけはやけに高い缶チューハイに手を伸ばし、3本一巻きの魚肉ソーセージと海苔塩味のポテトチップス、少し値の張るチーズたらをかごに入れて会計を済ませ、まだまだ騒がしい街に背を向けて帰宅の途に就いた・・・のだが、電柱の陰に不審なものを見つけた。
今にしてみればこれが一番の間違いだった。
仏心なんぞ出さずに、放置すべきだったのだ。
そこにいたのは、真っ青な顔をして息も絶え絶えな、かなり布面積の少ない服に身を包んだ金髪女性だったのだ。