8月9日-(9)-
7時になったけど、10コ席が空いている。
今この時間にいないんだから、ここまでよくあったように、たぶん・・・
(それにしても)
双子に生まれるというのは、こういう宿命なんだと初めて気付いた。
(あんな自分が死んでしまったみたいに・・・)
過ごした時間の重なりが、やっぱり普通の姉妹なんかとは違うんだろう。
段々となりふり構わなくなってきてる人に対して、長谷田くんも中岡くんもなりふり構ってなんかいられなかったんだ。
端末には触らないようにみんなに言ったのは、おそらく時間に間に合わなかったことを告発させないため。
告発に制限時間ができて、その時間を告発させなければ違反してもセーフだ。
直近で、時間に部屋にいないでアウトだったのは柚島さんだけど、その反省としては、とてもいい法だと思う。
7時5分を過ぎて、鈴木さんを探しに行く人達が出て行った。
「・・・」
取りあえず誰の告発も封じておいてから、助けるために動くっていうのが、一番正しいやり方だ。
ここに連れてこられて良かった例しがないけど、善し悪しで言えば今日も最低の1日。
「無事だといいよね」
ちょっと右後ろの辺りにいた安齊さん。
「そうだね」
安齊さんに答える。
「部屋にいないってのがとてもイヤ」
「え?」
「とてもイヤだな」
「安齊さん・・・」
安齊さんの心配というか、気持ちというか、わたしとは違うところに心を痛めているのが判った。
初日から、時間に部屋にいなかった人は死んでしまってきた。
そういう人達のことを思い出すこともなくはないだろうけど、きっと柚島さんのことを考えているんだろう。
(わたしにもっと強い責任感があったら・・・)
それなら安齊さんに話し掛けられる。
正しいことなんてできてないのに、正しくないことをしてるのも解ってる。
わたしにもっと強い意志があったら、安齊さんに話し掛けれる資格があったのかもしれない。
(わたしは何の資格も・・・)
ガクッと首が折れた私の横を、安齊さんと鹿生くんが通り過ぎて行った。
仁藤くんは7時5分に飛び出して行ったから、たぶん鈴木さんを探す役目だろうし、鹿生くんの方は安齊さんを守るため一緒にいるんだろう。
そんなことを考えながら、フッと安齊さんの行く先を見ていたら、廊下の窓から外を見てる榮川さんのところへ行くようだ。
(榮川さんと?)
時々、安齊さんと榮川さんが何か話してるのには気付いてたし、何を話してるのかが気になってもいた。
だけど、一瞬気後れがしてしまって、いつも近くに寄れないままでいた。
(今日は、ちゃんと)
決心して、真っ直ぐ二人に向かって歩き出した。




