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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月9日-(8)-

 夕ご飯食べてから集会室に行ってみたら、何人かもう来て座ってた。

 もちろん、その中には栞那ちゃんもいて、いつもの席に座ってる。

 私達も、いつもの席に座る。

(・・・・・)

バッグからそっと美愛の手紙を出して、ミユさんへ、を下にして机に置くと、その上に両手を重ねた。


 健ちゃんもヒデくんも何も話さないし、私もそういつもしゃべっているわけじゃないので、しばらくそのまま座ってパラパラと集会室に入ってくる人達を見てたら

(?)

栞那ちゃんが私達の方に向かって歩いてくるのが目に入った。

 それで、何か私に用なのかと思ったけど、栞那ちゃんは真っ直ぐ窓の外を見てるような目つきで全く私の方は見てない感じだったので

(別に私に用があるわけじゃないよね)

と思ったちょうどその瞬間

「!」

私の座ってるところまで2、3歩という辺りで、わきに栞奈ちゃんが挟んでた物が滑り落ちた。

 落ちたのはノートとか紙とかで、あまり音はしなかったけど、結構ハデな感じで床に広がった。

「あ、大丈夫?」

床に散らばったのは、ノートが3冊と、色も大きさも形もバラバラな紙で、栞奈ちゃんが拾い始めるのを見て、私も自分の近くまで散らばったのから拾い始める。

「紙はノートに挟んでくれればいい」

「え?」

私に向けられた青い瞳からのまっすぐな視線。

(あ!)

その瞬間、栞奈ちゃんが今何をしようとしてるのかが分かった。

(集会室でノートを落としたから、それに挟むんだよね)

私は散らばった紙を拾い集めてから、自分の座ってた席の机で集めた紙をトントンとそろえるついでみたいにして、机の上に載ってた美愛の手紙をまぎれ込ませた。

 「はい」

そろえた紙の束をノートに挟んで、栞奈ちゃんに差し出す。

「ありがとう」

「ううん」

「・・・」

栞那ちゃんは3冊のノートを両手で持つと、もう何も言わないまま私の横を通り過ぎた。

 そして、窓のところに立って、外を見始めた。

 中庭みたいになってるだけだから、見たからって何になるわけでもなさそうだけど・・・

(でも、これで)

たぶん誰からも変に思われることもないようにして栞奈ちゃんに美愛の手紙を渡すことができたんじゃないかと思う。

 だからどう、ってわけじゃない。

 だって、栞奈ちゃんにだって手紙の意味なんて分からないかもしれないし、そうすれば当然、美愛が私に伝えたかったことが何なのか分かるはずもない。

 ヒデくんにも分からなかったんだから、栞那ちゃんだったら分かるなんて限らない。

 でも、これでいい。

 大切な美愛の手紙を私が持ってるより、栞那ちゃんが持っててくれる方がずっとずっといいはずだ。

 私にしては意味のあることができた。

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