8月9日-(2)-
健ちゃんが私の渡した紙を見ている間、何げなく紙の裏を見てた。
(あ・・・)
そして、この紙は、美愛が持ってたメモ帳の紙じゃないかなって、そのとき気づいた。
ちょっと変わったキモカワのキャラクターが、健ちゃんが見てるのと反対側に薄く印刷されてる。
私は別に好きでも嫌いでもない。
でも、ちょっと変わったこのキャラクターを美愛はスゴク気に入ってて、グッズを見つけたときは大抵買ってたような気がする。
この紙も何回か見たことがある。
まあ、確かに、同じのを持ってる人がいないとは限らないだろうけど、私への手紙に使うくらいだから、たぶん美愛が持ってたあのメモ帳の紙のはず。
(美愛が?)
メモ紙は美愛のじゃないかと思うけど、私に手紙を書いたのまで美愛なのかは分からない。
健ちゃんは、すぐに紙を見るのをやめてしまって
「これって、あれだろ?」
と言いながら、私に紙を返した。
「字書いた下の紙にも跡がつくから、その跡が見えるように全体を薄く塗りつぶしたんだろ?」
「うん・・・そうかも」
返してもらった手紙を、もう一度ながめる。
「何て書いてあるか分かるようにしてあるけど、書いてある中身は訳分かんねぇな」
「そうだね・・・」
健ちゃんの言うとおり、紙にはエンピツを寝せて塗りつぶしたら浮かび上がった字の跡を、赤いペンでなぞってハッキリさせた言葉が並んでた。
言葉の最初は、美結へ、で始まってた。
だから、これを私は自分への手紙じゃないかと思うわけだけど、メモが美愛の持ってたメモ帳のだって気づいてから、フッと浮かんできたことがある。
私のことを、美結、と呼ぶのは3人しかいない。
健ちゃん、ヒデくん、美愛の3人だけだ。
あとの人達からは、安齊っていう名字の方で呼ばれてる。
あ、栞那ちゃんも私を名前の方で呼ぶけど、美結って呼び捨てではない。
さっき、手紙を初めて読んだときはハテナで頭がいっぱいになってしまったから、そこまで気づかなかった。
「これって、誰が美結に書いたんだ?」
やっぱり私あてに手紙を書いたのも、美愛だったって考えるのが当たり前なんだろう。
「美愛かも」
「柚島が?」
「うん・・・」
「訳分かんないのは、何かの暗号だからか?」
「さあ・・・」
私には手紙に書いてあることの意味が一つも分からない。
だから、健ちゃんが今言ったとおり、書いてあることそのままじゃなくて、暗号みたいになってて、本当はちゃんと私に伝えたいことが分かるようになってるんじゃないかって思う。
それに、そうじゃなくっちゃ変だ。
(・・・・・)
でも、何を手がかりにして、どう読めば、美愛が伝えたかったことが分かるんだろう・・・




