8月8日-(10)-
夜も8時を過ぎた。
あっち側は減ったのに、こっち側は昨日までより人数増えてる。
(昨日もだったから、あたしは今日休めるんじゃないかな)
なんてかなり期待してたから
「じゃ、みんな今日の分ちゃんと仕事してね」
珠美佳は薄ら笑いを浮かべながら言った。
「え?」
言葉が信じれなかったから
「ちょっと待って」
思わず結構大きな声が出てしまった。
「は?」
向こうに行きかけてた珠美佳が立ち止まる。
「なに?なんか文句でもある?」
あたしをにらんできた。
「でも・・・」
「なーにーか、文句、あんの?」
顔がくっつくくらい近づけて、さっきのあたしより大きな声だった。
「・・・」
「ねえ、広魅」
「・・・」
「なんか、言ったら?」
大声出してスゴんでるけど、あたしに触らないのは、自分が訴えられないようにしてるからだろう。
でも、こんなに言われたら、口ごもることだって珠美佳の前ではできなさそうだった。
「・・・」
だからもう、黙って首を振る。
「文句言いたいんでしょ、言えば?」
「・・・文句なんて・・・ないよ」
「そう」
よく本とかで見かける、フフンという鼻にかかった笑い方の見本みたいにして珠美佳が首を動かした。
そのとき、チラッと少し離れた所にいる前田さんが目に入った。
(そういえば・・・)
ここんとこずっと、あたしは珠美佳か愛麗沙と一緒にいさせられてたけど、前田さんは近くにいないときもあった。
集会室の席も、一ノ木さんは移動させられてたのに、前田さんは昨日までと同じ所に座ってたから、移動しろってことになってなかったんだろう。
しかも、前田さんには、一人だけ仕事の割り当てもなかった。
(・・・・・)
あたしだって、別に前田さんに反感があるわけじゃない。
あんなの突きつけられたら、ここにいるようにすること選ぶのだって、しょうがない。
それに、前田さんは誰かと組んでる感じでもなかった。
でも、あたしと違って、昨日までがんばってたんだから、それだけでスゴいと思う。
(・・・・・)
少し遠い前田さんを見ながら、思う。
違う。
あたしとは。
違ってるはずだ。
あたしなんかとは。
さっきからまだ薄ら笑いを浮かべてる珠美佳や、入口近くのイスに座って部屋全体を見渡してるような愛麗沙に目を向けたら、ブルッと震えを感じた。
愛麗沙と珠美佳も差があるけど、この2人は、あたし達4人とも差がある。
あたしと猪戸さんと一ノ木さんの3人と前田さんとにも差がある。
(何が?何で?)
そんなの、分からない。
また震えが来た。
(こんなのって、どっかがなんか違うってんじゃなきゃ、おかしいじゃない・・・)
裁きに因る死亡者
なし
裁きに因らない死亡者
なし
国家の人口
21人




