8月8日-(7)-
「おい、昨日の俺の何が間違いだって?」
一応おさえてるつもりだろうけど、カッとなったのが丸分かりなヒデくん。
「…」
中岡くんは視線を外して、ヒデくんからちょっと外れた辺りを見るみたいにした。
「大翔!」
イラッとした声。
そのとき、どうしてかフッと中岡くんが私を見た。
「安齊がいるとちょっと」
「あ…」
(私に聞かれたくないんだ)
「私、外にいるね」
反射的に、廊下に出ようとドアの方に向きを変えると
「美結一人で廊下にやれない」
強い口調でヒデくんが言うので
「・・・」
その場に立ち止まった。
考えもなく廊下に行きそうになったけど、確かに怖い。
クラスメートしかいないのに、独りでいるのは怖い。
中岡くんは不満そうに首を振って
「もういい」
ヒデくんに一歩二歩近づいた。
(あ・・・)
中岡くん、私がいても話しちゃうみたいだ。
「集会室にいないことが問題だったのは、結果論だが、柚島一人だった」
そっか、美愛のことを話すんだったら、中岡くんが私にいて欲しくなかったわけだ。
「ああ、それが何だ?」
ヒデくんの言葉は、トゲトゲのままだ。
「昨日、英基は健蔵と一緒に飛び出していったな」
「ああ」
「なんでだ?」
(え?)
どうしてそんなこと聞くんだろうと思ったけど、それはヒデくんも同じだったみたいで
「何が言いたい?」
中岡くんに詰め寄る。
「まだ自分の間違いに気付かないのか?」
「だから!」
チラッと私を見る中岡くん。
できれば私に聞かせたくないことは分かるけど、もうヒデくんは私を廊下に出してくれないはず。
「・・・あの時、ホントにすべきだったのは、一人も部屋から出さないで、誰も端末に触らせないことだったよな?」
「なに?」
「英基達が飛び出していったせいで、つられるみたいに他の奴らも部屋を出ていった」
「・・・」
「出ていった奴らが、そのあと何してたのか、全部判るのか、英基は」
ヒデくんほどじゃないけど、いつのまにか中岡くんの声も大きくなっていた。
ヒデくんが黙って首を振ったら、中岡くんは
「俺も知らない」
下を向いて言った後
「俺も知らないが、柚島が裁かれたんだから、誰かがやりやがったんだぞ」
ヒデくんを真っ直ぐ見た。
「誰も告発しなければ、誰も裁かれない」
「・・・」
「たぶん、男3人は、どうしようもなかった」
「・・・」
「でも、あの時、誰にも告発させないようにできれば、柚島だけでも裁かれることはなかった!」
(そうなんだ・・・)
さっき、昨日の7時、まだ美愛が生きてたって知れたけど、美愛を助けれる可能性があったことまでは分からなかった。
「・・・そうかもな」
しかめっつらで、ボソッとヒデくんが言うと
「自分が間違ったって解るよな?」
中岡くんは急に静かな声になった。




