8月8日-(6)-
ほんのちょっとした取り替えとかはあるけど、いつからか、みんな決まったところに座るようになってた。
中岡くんがたたいた机は、ずっと千賀さんの場所だった。
でも、今日からは、もう誰も座らない。
そんな場所が、もう9つ・・・
「大翔、訊いていいか?」
いつのまにかヒデくんは中岡くんの隣に来てて
「今、誰が何に違反したかが判るみたいな言い方したよな?」
「ああ」
ヒデくんに言われて、中岡くんはあっさりうなずいた。
「どうやって?」
「端末の機能にあったのを見付けたんだ、ホントたまたまだけどな」
「そうなのか?」
ヒデくんは驚いた顔をして
「俺にも教えてくれよ、その機能ってやつを」
中岡くんの左肩をつかんで揺らした。
「ああ」
中岡くんはポケットから自分の青い端末を出して、ヒデくんに教え始めた。
中岡くんがヒデくんに教えているとおり、一緒に私も自分の端末を操作してみる。
画面には『違反者』という表示が出てきた。
「そこから入って、並んでる名前に触ると…」
中岡くんが教えてくれるより早く、私はもう美愛を見つけて触ってしまった。
「・・・・・・・・・・」
今まで確かめなかったけど、ヒデくんも健ちゃんも教えてくれなかった美愛が裁かれた理由。
(最初の?)
佐藤くんと根津さんと同じ。
(ってことは…)
頭が真っ白になってしまってた、昨日のあの瞬間、あの瞬間だったら、まだ美愛は・・・
「柚島と千賀以外の男3人は同じだな」
「・・・」
(ホントだ…)
ヒデくんの言うとおり、千賀さんは昨日決めた法律に違反したことになってて、男子3人は、誰かに暴力振るったことになってた。
(え?)
慌ててヒデくんを見る。
「千賀を責めるつもりなんてない。でも、盗むって言葉を使わなかったのは」
「・・・・・」
ヒデくんは無言だったけど、中岡くんは話をそのまま続けた。
「間違いだったよな」
「ああ…」
ヒデくんが、ため息をつくみたいに言って天井を見たら、そんなヒデくんに中岡くんが大きなため息をついたけど、その後は、なんか心が決まったみたいな顔になった。
「・・・なぁ、英基」
「ん?」
「英基も自分の間違いが分かってるんだろ?」
そう言われたヒデくんが硬い表情のまま
「そうだな、俺の法で3人も裁かれた」
と言うと中岡くんは
「いや、それは仕方ない」
すぐに返した。
「仕方ない?」
「英基は当たり前の法を決めただけで、暴力を振るうのが間違いだ」
「・・・」
断言するみたいな言い方に、ヒデくんは黙ってしまう。
その様子に中岡くんは、また大きくため息をついてから
「英基は昨日、ヒドい間違いをしたよな?」
ちょっと怖いくらいの調子で言ったので
「なに?」
ヒデくんの表情がサッと変わった。




