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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月8日-(3)-

 明け方くらいだったはず。

 別な気持ちも起こってきた。

 どんな違反だって、誰も告発しないようにしてれば裁かれる人はいない。

 ヒデくんが言ってたとおり、私達の中で潰し合いが起きてる。

(ダメ・・・)

 いくら胸を押さえても、その中では闇みたいな気持ちが風のようにサァーッと速く広がっていくみたいな感じがした。


 「大丈夫と言うけれど」

栞那ちゃんはゆっくりと入口の方を振り返って

「美結さんが辛くて仕方ないのは、私にも判っている」

と言ってから

「とても判るけれど」

栞那ちゃんじゃなくて、床を見るようになってた私の視線を拾い上げるみたいに顔を傾けて

「でも、美結さんが見て、とてもひどそうな顔の人には声をかけて欲しい」

と続けた。

 言われて私は、ピクッと跳ね上がるみたいに顔を上げる。

 ビックリしたんだ。

「美結さんに、してもらいたい」

「え?」

大きな青い瞳が、下から私をのぞき込んできた。

 瞳に誘われるみたいになって

「あ、うん、するよ」

うなずきながら答えた。

「うん」

そしてすぐに、もう一回大きくうなずいた。

 ヒドそうに見える人に声をかける。

 そういうことをするなら、栞那ちゃんより私の方が向いてる。

 前だって今だって、お世辞にもクラスメートとうまくやれてるわけじゃない栞那ちゃん。

 そんな栞那ちゃんが、急にみんなに声をかけたりしたら変かもしれない。

(それに・・・)

栞那ちゃんも私やクラスメートを心配したりしてくれるのだと知って、ほんのわずか明るい気持ちになった。

 「でも、私に言われてということは内緒にして欲しい」

「そうなの?」

 私としては、栞那ちゃんに対するみんな見方を変えてあげた方がいいと思ったけど

「美結さんが、自分の考えで声をかけていると思ってもらうのがいい」

と言われてしまったので

「うん、分かった」

栞那ちゃんの言うとおりにすることにした。

 「…」

私が答えるとすぐ、来たときみたいに何の音もなくトイレから出て行く栞那ちゃん。

 チラッとだけ見た栞那ちゃんの背中を見て思い出したのは、あの雨の日、冷たいガラスみたいに見えた青い瞳。

 あの後、そんなはずないって何回も思い直してたけど、やっぱり違ってて、今なんかはスゴクあったかく感じる瞳だった。


 栞那ちゃんに続いて私もトイレを出ると、ちゃんとヒデくんが待っててくれた。

 「健ちゃんは?」

「そっちだ」

ヒデくんが目線で隣のトイレを指した。

「そっか」

健ちゃんもトイレに入ってったみたいだ。

 「行くぞ、美結」

「え?健ちゃんは?待ってなくていいの?」

「待ってなくていいって自分で言ってたから、健蔵は大丈夫だ」

「そうなんだ」

「ああ」

「分かった。じゃあ、先行っちゃおうね」

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