8月7日-(8)-
7時になった。
空いてる席は9つもある。
昨日までは確か4つ。
空いてる席のうち、何がどうしたのか知ってるのは3つあるけど、どうして空いてるのか分からないのも2つある。
7時を過ぎた瞬間、集会室を飛び出していった仁藤くんを追い掛けようとした鹿生くんだったけど、安齊さんがフラフラッと立ち上がったのを見て
「美結は座ってろ!」
強い口調、大きな声で言う
「ん・・・・・」
安齊さんは腰を抜かしたみたいに、ペタッとイスにお尻を落とした。
でも、走って行く鹿生くんの背中をボーッとした目つきで追っているようだ。
集会に来なかったのは、星くん、内海くん、三浦くん。
それに千賀さん、そして・・・柚島さん。
7時になるちょっと前からずっと腕組みをしたままスゴク怖い顔をしてた長谷田くんが、両腕をほどくと、振り上げて机を叩く。
結構大きな音がした。
その音が切っ掛けになったみたいにして、7、8人が顔を見合わせながら立ち上がった。
立ち上がった人達が集会室から出て行ったところで
「何だよ!」
長谷田くんはもう一度机を叩いた。
(・・・・・)
今まで何回かこんなことがあったんだから、嫌な予感がしたり、集会に来なかった人達をどうにか助けられないものかと思ってる人なんて、あの出て行った人達の中にはいないだろう。
(じゃあ、なんで?)
と思ったけど、そんなの一瞬だった。
どうして空いてるのか分からない席に座るはずだった2人のことを、わたしはどうしたいのかっていうことに思いを向ければ、答えはすぐに出る。
わたしは全然好きじゃないけど、ホラー映画を観るのと同じことかもしれない。
映画の中で何が起きるのか、映画を観るまでもなく知ってるのに、わざわざ観始めるのは、実際にどうなるのか具体的に知りたいから。
鹿生くんのあとに出て行った人達も、そう。
安齊さんと柚島さんは、集会室に来る途中で、お互いのバッグを取り替えっこして中を調べてるみたいだった。
わたしは2人のすぐ後ろを歩いてたから、2人が集会終わったら一緒にご飯食べようって約束してるのも聞こえていた。
柚島さんが、トイレに寄ってから行くって言ったから、安齊さんは先に集会室に入って、いつもの席に座った。
トイレは集会室の向かい側で、間にあるのは廊下だけだし、集会室にもトイレにも何人か他の人がいて、安齊さんも柚島さんも一人になったわけじゃなかった。
あんなのが分かれ道になるなんて、2人だけじゃなくて他の誰だって普通に思わないし、安齊さんと柚島さんが勿論思ったはずもない。
思ったはずがないのに、柚島さんは今、安齊さんの隣にいない・・・・・




