8月7日-(5)-
「持ち物を調べるか・・・」
首を二、三度振りながら考え込むヒデくん。
「まあ、別にヒドい手間でもないから、やってみてもいいかもしれないな」
健ちゃんはすぐに賛成してくれた。
「・・・そうだな、自分の持ち物を調べる分には危ないことなんてないしな」
ヒデくんはさっそく自分のリュックを引き寄せた。
「柚島も調べた方がいいぞ」
「え?」
「俺は、大した手間じゃないなら、何でもやってみるぞ」
「ふぅん」
美愛もバッグを持ち上げた。
私だけだと納得しなかった美愛も、ヒデくんとか健ちゃんが実際にやり始めると、その気になったみたいだ。
誰の荷物にも、変わったところはなかった。
「ここにいない奴には、見掛けたら言ってみよう」
「うん」
「美結は、持って歩くっていうのも言ってたな」
「あ、うん」
「そっちは、結構面倒だけど、スゴい重いわけじゃないから、やってみるか健蔵」
「しょうがないな、自分のだしな」
肩をすくめる健ちゃん。
「変なふうに触ると、昨日千賀が作ったのに引っかかったりするからな」
「え?」
健ちゃんが続けた言葉にハッとする。
(さすが栞那ちゃん・・・)
私は今の今まで、栞那ちゃんの言ってた意味に全く気付けなかった。
直接聞いたわけじゃない健ちゃんでも気付いたのに。
とにかく、自分の物を自分で持ってる限り、千賀さんの法律には違反しない。
誰かを守ることにも役立つんだ、これって!
「あれ?ここもあまりいないんだ」
「?」
急に聞こえた後ろからの声で振り返ってみると、ドアのところにいたのは三田さんと矢口さんだった。
「ここも?」
「同じようにヒマなんだろうけど、みんなって、どこで何してるのか見て回ってたんだ」
「あ、そうなんだ」
私が三田さんと話し始めたのを見て、健ちゃんもヒデくんもリュックを肩に掛けて部屋を出て行こうとする。
「・・・」
前から知ってたけど、ヒデくんと健ちゃんは、三田さんが苦手のようだから、わざわざ三田さんの後ろを通っていく二人を呼び止めないで見送った。
「安齊さんは付いてかなくていいの?」
「は?」
「行っちゃうみたいだよ、二人とも」
「ああ、うん」
「美結、あたしは猪戸さんとここにいるから」
「うん」
バッグを肩に掛ける。
「じゃ、またね」
「うん」
矢口さんと三田さんに持ち物調べたらって言うのは今じゃなくてもいいと思ったので、美愛と猪戸さんを残して、健ちゃんとヒデくんを追いかけるようにして廊下に出ようとしたら
「わ!」
その瞬間誰かとぶつかりそうになってしまった。
「ゴメンなさい」
「別に」
私の横をすり抜けて、森さんが部屋に入っていった。




