8月7日-(4)-
部屋に着いた。
「そうそう、美愛」
「なに?」
「さっき榮川さんに言われたんだけど、一回、荷物の確認してみようよ」
「え?なにそれ?」
美愛の笑顔が不思議そうな表情に変わったのは、当たり前だけど、聞かれた私だって何でだか分からないから答えようもない。
だから
「なにって、っと・・・」
美愛に何も返せない。
「別に損するわけでもなさそうだし」
「うん」
「そういうのなら何でもやってみようかと思って」
「ふーん」
美愛の不思議そうな顔は、まだ変わらない。
「それにほら、基本ヒマでしょ、ここにいると」
「まぁ、それはそうだけど、何だか分からないことしてまでヒマつぶしたくないなぁ」
「・・・・・」
美愛と私は違う。
私は周りに合わせるばかりで自分の考えってものがないときがほとんどだから、美愛みたいな強さがうらやましい。
「なんだー」
部屋の奥の方に三浦くんがいて、声をかけてきた。
「安齊、どうかしたのか?」
「ああ、うん、ちょっと」
三浦くんから少し離れたところに健ちゃんとヒデくんもいるのが見えた。
「美結、ずっと昼食ってたのか?」
私が次の言葉を出す前に、健ちゃんから聞かれたので
「うん」
小さくうなずく。
「俺達がここ帰ってきてからも結構たつから、長かったな」
今度はヒデくんだ。
「うん、ちょっと話してたりしたから」
「とにかく女の話ってのは長いからな」
「うん・・・」
三浦くんは、思ったことが口に出るんだろう。
不安を感じさせる人じゃないからいいんだけど、もう少しデリカシーみたいのがあったらいいのかもしれない。
「じゃ、オレは」
その三浦くんが立ち上がる。
「ああ、頼んだぞ」
「分かった」
ヒデくんに向かって軽く手を上げながら、三浦くんは行ってしまった。
「三浦くんは?」
「え?」
ヒデくんに訊いたつもりだったのに、健ちゃんが反応した。
「そうだな・・・」
そしてヒデくんをチラッと見る。
「三浦には、見張りみたいなことを頼んだんだ」
ヒデくんの答えに
「見張り?」
美愛が聞く。
「最近、何も起きないとはいっても、もう起きないなんて言えないからな」
「そっか、そうだね」
ヒデくんも健ちゃんもちゃんと冷静にいろいろ考えてたみたいだ。
だから、私も栞那ちゃんの言葉を伝えないといけない。
「あのね、ヒデくん」
「なんだよ、マジメそうな顔して」
「うん、バッグとか一応調べたりしたいの」
「バッグを調べたい?なんでだ?」
「あ、いや・・・」
また口ごもってしまいそうになるけど
「食堂で話してるとき、一応いろんなもの調べ直した方がいいかなって話もあったから」
美愛のときみたいに気まずくしたくなくて、自分も納得させるような感じの話を作った。




