8月7日-(2)-
お昼ご飯を食べ終わって、食器下げ口の前で美愛と二人、猪戸さんが食べ終わるのを待ってた。
(ん?)
そしたら、向こう側を栞那ちゃんが歩いてるのを見つけた。
栞那ちゃんは、さっきまで私達の隣のテーブルにいたけど、最初っから最後まで一人きりで、美愛なんかとの話が途切れたら話しかけたかもしれなかったけど、そういうタイミングもないままいたら、栞那ちゃんは、いつもどおり食べ終わってからはフッと立ち去ってしまった。
私達は、そのあともしばらく、15分か20分くらいは食堂で食べたり話したりしてた。
(どうして戻ってきたんだろ)
昨日までだと、フッといなくなった栞那ちゃんとは、次のご飯のときか、集会室に集まる時間じゃなければ、また会ったりできなかった。
景色とさほど変わらないくらい目立たない私とは違う。
栞那ちゃんは、金髪で背も高いんだから、学校でだって遠くからでも目立ってて、よく分かったし、別にこんなとこでだって、見つけやすいはず。
でも、またあんなことになっちゃうのはイヤだし、昨日からは、栞那ちゃんを全然見かけない不思議を深く考えないようにした。
「美愛、私、出てすぐの所にいるね」
「ああ、うん」
美愛に一声かけてから、食堂の入口で
「栞那ちゃん」
顔の横まで上げた手を少し振ってみる。
別に返事はなかったけど、私のことを見つけてくれたみたいで、少しも変わらない表情、早さで一直線に向かって来る。
「あれ?」
栞那ちゃんがすぐ近くまで来たから初めて分かったけど、髪が濡れてるようだ。
「栞那ちゃん、今シャワー浴びてきたの?」
「・・・」
言葉はなく、うなずいた。
「へえ」
栞那ちゃんの金髪、濡れてるとこを見るのは初めて。
「栞那ちゃんの髪って、濡れるとちょっとだけウエーブが強くなるんだね」
いつもなら超ゆるいウエーブがかかってて、ファーッとしてる金髪だけど、今は少し曲がりが強くなって、背中でふんわり拡がってる。
「そうかもしれない」
「うん」
大きくうなずく。
「・・・」
いつものことかもしれないけど、やっぱり私と話してても表情が動くことがない。
「・・・っと、ゴメンね、呼び止めちゃって」
「・・・」
「何かすること、あったんだよね、たぶん」
言いながら、たぶんヘラヘラとした笑みが浮かんできてるはずの私。
そんな自分が、ホントにイヤになる。
だけど、私にしてみれば、こんなふうにちょっとでも空気悪くなってきた時かもって感じてしまうと、相手の機嫌を取るみたいな振る舞いをするしかできなくなってしまう。
覚えてないくらい小さい頃から、ずっとずっとそうだった・・・




