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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月6日-(2)-

 朝ご飯が済んだので、食堂を出て歩いていたらトイレの前で美愛が

「美結、あたしちょっとトイレ寄っていい?」

と言って腕をつついてきた。

 「あ、うん」

2、3回周りを見回すと、廊下には何人か他の人も歩いてたり、立ち止まって話してたりする。

(一人じゃなきゃいいよね)

私は別に用を足すほどじゃなかったから

「私は大丈夫だから、ここで待ってる」

美愛の腕をつつき返した。

 トイレの前で美愛を待ってると、昨日の夜から今朝までのことを思い出す。 

 たとえ私は、悩むのが似合わない人なんだとしても、昨日栞那ちゃんとギクシャクしてしまったことでは落ち込んでしまった。

 昨日の夜も目をつぶってから、そのこととか、いろいろ考えてたけど、そのうち朝になってた。

 でも、寝れもしないで、ずっと起きてたわけじゃないのは確か。 

(寝れないかと思ってたって、いつのまにか寝てるんだよな・・・)

 こんなだから「美結は、のんきだ」なんて言われちゃうのかもしれない。

 昨日は誰も欠けたりしないで終わったからホッとできる出来事ではあったけど、でも栞那ちゃんとのことがあったから、私なりにスゴく気持ちが沈んだ。

 そのとき

(あ・・・)

向こうから栞那ちゃんが歩いてくるのが見えた。

(・・・・・)

 2日目から昨日まで朝最初に会ったら、おはようって言ってくれてた栞那ちゃんだけど、私が昨日変なことを言ってしまったから、今日からは栞那ちゃんに無視されたっておかしくない。

 また胸がドッキンドキンとしてきた。

(どうしよう・・・)

美愛を待ってるから、ここを動くわけにはいかないし、目をそらすのもおかしいから、近付いてくる栞奈ちゃんをずっと見てるしかない。

 「おはよう」

私の前で立ち止まった栞那ちゃんは、ホントいつもどおり、自分からあいさつしてくれた。

 「あ・・・」

びっくりしたけど、ここで言いよどんじゃいけない。

「お、おはよう」

「・・・」

「栞那ちゃん・・・を、しょ、食堂で見掛けな・・・かったけど」

ここまででも私の精一杯なのに

「栞那ちゃんは・・・」

もう少し頑張らなくちゃいけなくて

「ご飯は、まだ・・・だったの?」

精一杯勇気を出した問い掛けを、何とか続けた。

 栞那ちゃんは表情も姿勢も動かないまま

「まだ」

昨日までと何も変わらない、落ち着いた調子で即答した。

 「そ、そう・・・なんだ」

とにかく栞那ちゃんが私を相手にしてくれたことにホッとした。

「今朝のメニューはね、和食が多い感じだったよ」

ホッとしたら舌が良く回るようになった気がする。

 「そう」

それだけ言うと、相変わらず素っ気なく私の横を通り抜けていく栞那ちゃん。

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