8月6日-(1)-
人を殺すだけだったら
便利な道具は要らない
時計を見なくても、明るくなってきてないから、まだ朝まで随分時間があるってことだけは分かる。
昨日は、朝からずっと悩んでた。
どうしようか、スゴク悩んで、もう訳が分からなくなったくらい。
寝る部屋に戻ってから、茉莉亜と話をしたけど、電気もついてない部屋で話してたのは、前の日までとおんなじ。
茉莉亜と話している間も、頭の別な隅では悩みに悩んでて、でも結局、茉莉亜には相談する気になれないまま、自分の中をグルグル回してただけだったから、結論なんか出なかった。
結局、悩み疲れてしまって、かえってなんか力が抜けたみたいな感じになったせいか、いつの間にか眠ってしまっていたようだ。
目が覚めて、隣を見たら茉莉亜もスヤスヤ寝てた。
(やっぱり、これかな)
茉莉亜に背中を向けて、考えておいた文章を端末に打ち込む。
「・・・・・」
どうせ結論が出ないんなら、もう悩んでも仕方ないだろうし、これで送った。
8月6日 @国王の法
~今日の法は【他人の物を自分の物としてはいけない】と決めました。千賀~
送って少ししたところで、茉莉亜の手の中の端末がピカッと光る。
でも、茉莉亜は目を覚まさない。
(これで良かったんだ、きっと)
随分いっぱい考えたけど、考えたって、どうすればいいか分からないし、どうなるか分からない。
悩んで分かったのは、そんなことだけ。
だから、どうにもならないことを考え続けるのはやめて、それよりは今の一瞬一瞬に気を配ってた方がいいと思うことにした。
茉莉亜が相変わらずスヤスヤ眠っているみたいに、朝まで時間があるんだし、もう一度眠れるかもしれないから、わたしも目を閉じる。
目を閉じると、真っ暗な中、わたし自身が驚くような自分自身を見付けてしまったことにフッとおかしくなる。
自分は、もっと神経が細いと思ってたのに、意外とそうでもないようだ。
だって、不安と悲しさで本当に全く眠れなかったのは、実際のところ最初の日だけ。
2日目からだって1人ずつ2回何かが起きているっていうのに、それにあまり引っ張られないで、どうにか少しは眠れてる。
まあ、そうやって何だかんだで眠ってるっていうのが自分だけじゃなくて、今も隣で寝息を立てている茉莉亜もそうだし、他にも何人かいるのを知ってる。
そうしてみると、結局人間なんて、どんなひどい毎日でもそのうち慣れてくるのかもしれなかった。
その証拠に、わたしだって実際さっき起きるまで、夢を見てた記憶もないし、家で寝てたみたいに、ぐっすり寝てたような気がする。
今日はどんな一日になるんだろうか。
また誰かの身に何かひどいことが起きないのだけが望みではあるけど・・・




