8月5日-(7)-
(!)
夜の集会が終わってから、もう10分くらいたったはずだけど、珍しく栞那ちゃんがまだ集会室にいて、座ったままでいる。
いつもなら栞那ちゃんは、集会が終わるとすぐいなくなっちゃうっていたような気がする。
「美愛、もう少しここにいる?」
「んー、まあ別にすることないしね」
「うん、じゃ、ちょっと待っててよ」
「いいよ」
栞那ちゃんに私が見えるよう前から近づくと、栞那ちゃんはノートに何か書いているようだった。
「栞那ちゃん、いい?」
でも、思い切って声をかけてみた。
栞那ちゃんは別に私の方を見なかったけど
「なに?」
反応して顔を上げてくれた。
「その、良ければさ、ちょっとだけ話せない」
「・・・」
チラッと私を見てから
「分かった」
ノートにペンをはさんで閉じると、それを持ってパッと立ち上がった。
「美結さん、ここで話すより廊下に行こう」
「え?あ、うん」
どうして廊下なのかとは思ったけど
「じゃ、行こう、廊下に」
少し大きめの声で言うと、美愛がこっちを見たので、私達が廊下へ行くのが分かっただろうと思い、さっさと集会室を出て行こうとする栞那ちゃんを追うみたいにして廊下に向かう。
(でも・・・)
特に何か話すことがあって栞那ちゃんに声をかけたわけじゃないので
「っとぉ・・・」
集会室を出てからも、何から話せばいいのか分からない。
栞那ちゃんに付いて角を曲がると、栞那ちゃんは食堂につながってる廊下で歩くのをやめて私の方に振り返った。
「この辺で」
「うん」
廊下には窓があって、夏だから雨だったけど7時過ぎでもついさっきまで何となく明るかったし、今もまだ中庭みたいになってる場所が見える。
「話とは?」
「うん、栞那ちゃん」
「・・・」
もう仕方ないから、何となく気になっていたことを質問してみることにした。
「今朝私と会ったときに、雨って言ってからもずぅっと窓の外見てたけど、何見てたの?」
「何を見ていた・・・」
栞那ちゃんの表情は別に変わらないけど、私はちょっと胸がドキドキ。
「・・・つに・・・だい・・・か」
途切れ途切れのつぶやきが聞こえて
「雨の降り方」
ポツッと出た。
「雨の降り方?」
思わず栞那ちゃんの言葉をそのまま返した。
「・・・降り方って、何で?」
そして、探るような感じでまた質問してしまった。
「80分の誤差で緯度経度は分かったので、雨の降り方からも何か分からないかと」
「え?」
息を飲むみたいになってしまったから、自分でもビックリするような変な声が出た。
そして頭の中がハテナでいっぱいになる。
でも、たぶん栞那ちゃんには全部当たり前のことみたいだから、これ以上何質問していいのか、もう分からない。




