8月5日-(6)-
「はい」
「お」
手を挙げると、すぐに鹿生くんが反応する。
「千賀、やってくれるのか?」
「うん」
わたしが頷くと、鹿生くんがホッとしたような喜んだような表情を浮かべた。
「ええと、千賀が明日の国王をやってもいいって言うんだけど、みんなそれでいいか?」
鹿生くんがみんなに問い掛けると、後ろの方からパチパチと音がする。
ちょっと顔を動かして横目でそっちを見てみると、拍手してくれてるのは安齊さんみたいだ。
安齊さんの拍手に続いて、数人が拍手をし始めて、すぐ全体に拡がった。
鹿生くんは少し笑みが浮かんだような表情でウンウンとうなずいて
「じゃあ、明日の国王は千賀ということにします」
そう言いながら、わたしの後ろの方に向けて手招きをする。
すると、安齊さんと仁藤くんが立って行って、鹿生くんの左右に並ぶと、鹿生くんが端末の操作を始めた。
鹿生くんは何とか明日の国王が決まってホッとしたはずだけど、わたしもちょっと勇気を出して立候補したから、うまくいってホッとした。
迷ってただけの昨日までから一歩か半歩か踏み出してみて良かった。
「理璃」
隣に座ってた茉莉亜に呼ばれたので
「なに?」
そっちを向くと
「良かったね」
茉莉亜が笑いかけてきた。
「うん、ありがとう」
私もちょっとだけ口元をゆるませた。
「あ」
集会室中の端末が一斉に鳴る。
もちろん、わたしのも鳴ったし、初日からだとこれで5回目だから、もうどんな内容のメールが来てるか見ないでも分かるけど、一応メールを開く。
メールは1回で2通届いてる。
8月5日 @国王選出
~千賀理璃を8月6日の国王に選出~
8月5日 @法の制定
~8月6日の国王千賀理璃は法を制定し、8月6日中に内容を送信せよ~
これで正式にわたしは明日の国王になることが決まって、明日の法を作らなければいけなくなった。
(明日の法ってどんなのにすればいいかな)
今まで藍川くん、長谷田くん、仁藤くん、鹿生くんが国王になって法を作った。
藍川くんはすぐに決めちゃってたけど、他の3人はどうやってどんな法にするか決めたんだろう。
独りで考えて決めたのかもしれない。
国王が法を決めるっていうくらいだから、誰かに相談するってのも何か変な感じはするけど、じゃあ誰かと一緒に考えてダメってことになってるかっていえば、そういうわけでもないようだ。
ホントに相談して決めるっていうのは、どうだろう。
まあ、でも、それができるにしたって、わたしはわたしで何かちゃんと考えなくちゃいけないのも確かだけどね。




