8月5日-(5)-
夜の集会が始まった。
何よりホッとしてるのは、今日は誰もいなくなったりしてないこと。
結局今日は1日中雨。
今日は、誰も外に行かなかったんだろう、どこ行っても一人でいるような人はいなくて、わたしの感じた寒気はスゴい正解だったことを改めて知ってしまったりもした。
でも、別に教えてたわけじゃなかったのに、図書室で本を読んでるうち茉莉亜も来てくれたので、それからずっと茉莉亜と一緒にいれたのは、ホント良かった。
わたしの感じた寒気。
ただ、それを茉莉亜に話すのは気が引けて、結局茉莉亜に言わないまま。
(たぶん、茉莉亜なら分かってくれると思うけど・・・)
そんなことを考えていたら
「じゃあ、明日の国王を決めるんで、やりたい人がいたら手を上げてくれ」
鹿生くんの声が耳に届いた。
(今は、こっちか)
ボーッとしてただろう意識を、集会の方に戻す。
今日の国王は鹿生くんなので、明日の国王を決めるための司会をしているのだった。
「誰かいないかぁ?」
鹿生くんは左右を見回してるけど、わたしはキョロキョロするわけにもいかなくて、でも、目線だけグルーッとみんなを見渡してみても誰も立候補してくれないみたいで
「誰もいないのか?」
鹿生くんは戸惑ってるように思う。
昨日までは誰かかれか立候補してたから、こういうのは今日が初めてかもしれない。
「・・・」
お昼、茉莉亜と食堂に行ったとき、2席くらい離れたところにいた安齊さんが柚島さん達と言ってたことを思い出す。
二人が言ってたことは、大体2つ。
わたし達の中から決めなくちゃいけない国王って、別に何か特別な権力とかがあるわけじゃないようだし、他の人と違うのは、まあ法を決めるくらいしかないような感じだってことが一つ。
それと、でも、何日も経ってしまうと、前の国王が決めた法がジワジワ縛りになってきちゃうこと。
だって、もうある法と矛盾する法を決めることができないんだから、後になればなるほど、法の作り方って難しくなりそうだ。
(そうだよね)
今日まで見てて、国王になったからということで大変なことはあまりなさそうだ。
そして、後になるほど大変になってくるというのも間違いない。今までずっと立候補できたけど、推薦とか指名とかされちゃうときが来るかもしれない。
そういうことになる前に、こういうときにパッとやっておく方がいいように思うし、鹿生くんが困ってるのを見過ごすことにもならない。
(じゃあ、わたしでもできるうちに)
「誰かやってもいいって人いないか?」
鹿生くんの呼び掛けで、そっと手を挙げてみる。




