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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月4日-(8)-

 「なあに?」

まず返事をしてから、健ちゃんと替わってヒデくんをのぞき込む。

「私に答えられることなら、ね」

ヒデくんの方も私を真っ直ぐ見た。

「工藤を見てないか?」

「え?」

スゴク意外な質問。

 ヒデくんは、食堂の中を左、右と見回して

「起きたときから工藤を見てないんだ」

と言ってから

「美結は、今日、工藤を見たりしてないか?」

私に視線を戻す。

 「工藤くん?」

 工藤くんとは同じ部屋だ。

 でも、朝から工藤を見てはいない。

 だから

「見てないよ」

答えてから、美愛も同じ部屋なんだしと思って、ちょっと美愛に目を移した。

 だけど、美愛もスッスッと首を振る。

 「美愛も見てないみたい」

「そっか」

ヒデくんが短く溜め息をついた。

 「ヒデくん、工藤くんに用があるの?」

「いや、そういうわけじゃ」

「じゃあ、何で?」

首をかしげたところで

「美結」

美愛に服を引っ張られた。

 「え?」

「・・・見かけないってヤバいよ」

小声で耳打ちされて

(あ・・・)

 やっと気が付いた。

 私がお気楽なことを言ったせいで、ヒデくんを不安にさせてしまったかもしれない。

(何か言わなくちゃ)

 「あ、でも、あの、私」

「他の人からも聞いてみたら?」

何とか取りつくろおうとしたら、美愛がフォローしてくれた。

「あたしも美結も猪戸さんも、部屋からここ来ただけだからさ」

私がうなずくのと同時に猪戸さんもうなずいた。

 「ああ、まあ、そうだな」

ヒデくんが言うと

「俺も英基も、今日美結と柚島としか話してないし」

健ちゃんが続いた。

 「健ちゃん達が最初食堂行ったときは誰もいなかったの?」

逆に私も聞いてみると

「誰とも会わなかったな」

健ちゃんが首を振る。

「ああ、朝起きて飯食って戻ってくるまで誰とも会わなかった」

「だって、英基の行く時間が早すぎるんだよ」

「食堂行こうって言ったのは健蔵が先だろ」

「そうか?」

 「鹿生くんと仁藤くんがまた食堂来たのって、部屋戻っても工藤くんと会わなかったからなんだ?」

(え?)

美愛の言葉でハッとする。

 さっき健ちゃんはヒデくんに連れてこられたみたいなことを言ってたけど、実は食堂行って帰ってきても工藤くんがいないから、二人は工藤くんを探しに来たみたいだ。

 「それもなくはないかな」

「ああ」

(やっぱり)

 「ま、工藤のことは、他でも聞いてみるよ」

「うん」

美愛がうなずいたところで

「美結」

ヒデくんが軽く右手を挙げた。

 「なに?」

「部屋に戻るのも、集会室に行くのも柚島と一緒でいろよ」

「うん、分かった」

「じゃあな」

「うん、健ちゃんも独りにならないようにね」

「分かったよ」

 ヒデくんも健ちゃんも行ってしまった。

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