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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月4日-(5)-

 私のを見てから行ったせいかもしれないけど、美愛の持ってきたのもパンケーキだった。

「なんだ、美愛もそれ?」

「なんか、美結が食べてるの見てたら、ね」

トレイをテーブルに置く。

 イスに座ると、美愛はフーッと溜息をつきながら髪を手で束ねて、バレッタで留めた。

 「いただきます」

そう言って美愛がフォークを持つのを待ってから声を掛ける。

「ねえ、美愛」

「んー?」

「さっき話してたことって」

「ん?さっきって?」

美愛は目線を皿に落としたまま答えた。

 「それ持ちに行く前に、私達が話してたじゃない」

一旦言葉を切って、美愛が顔を上げるのを待つ。

「うん」

美愛が右横の私を見てくれたので

「私とかが美愛の来る前に話してたことって、まあ情報交換みたいなことだったんだよね」

美愛にも教えてあげようとする。

 「ふーん」

また美愛は目線を皿に落としてしまった。

 ところが、もう一口食べてから美愛は、フォークを持ったまま頭を押さえて

「もー、ホント訳分かんなくて頭おかしくなってきたよ」

と言って私に向き直る。

 「美結のおしゃべりを聞いてると、何も考えないでいいからさぁ」

「え?」

「だって、つい、いろんなこと考えちゃうから」

「そう?」

「さっき話してたことでいいから教えてよ、美結」

苦笑いみたいなのを浮かべた。

(美愛でも・・・?)

 ちょっとどころじゃなく、スゴく意外だった。

 私がいつも感じてたのは、美愛のストレスへの強さ。

 美愛は大抵のことなら笑って済ますことができると思ってた。

 私なら、完全にパニクってしまうようなときでも落ち着いてたような気がするから。

 私は、自分が能天気だっていう自覚があって、能天気さで誰かに負ける気もない。

 だけど、突発的な何かが起きた瞬間に、気持ちを踏み止めれる強さは、美愛に全然かなわない。

 「美愛、そんなことでいいの?」

「いいよ、何でも」

フォークを口に運びながら答えた。

 「ホントに?」

「あたしだって、知れるもんなら何でも知りたいよ」

今度は、左手だけをヒラヒラさせる。

 美愛の噛むのがやむのを待って、言葉をつなぐ。

「美愛は、どんなことが知りたいの?」

「いーっぱいあるよ」

チラッとこっちを見た。

「でも、美結が適当に何かしゃべってくれるだけでもいいよ」

「なにそれ?」

思わずちょっと笑いがもれてしまう。

「いいよいいよ、ホントいいよ」

「うん」

私は舟山さんと一ノ木さんの方を見て

「さっき聞かせてくれたこと、美愛にも教えていい?」

二人に一応確かめてみる。

 「うん」

「いいよ」

すると、二人ともうなずいてくれた。

 「よしっ。じゃ、美愛にも教えてあげる」

「はいはい、お願いします、美結」

美愛は、モグモグしながら私を見た。

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