8月4日-(3)-
何回も寝返りしてるうち、外が明るくなってるのに気づいた。
(朝か・・・)
何であんなことしちまったのか、考えると眠れなかった。
どうして龍太が死んだか分からないってみんな言ってたし、龍太にケガさせられたやつを探すやつもいた。
みんな分かってないことを、俺は分かってる。
それもたぶん、俺にしか分からないはず。
当然、だから、俺の知ってることは誰にも話すことなんてできるはずもない。
俺も龍太と同じだ。
俺のことだって龍太と同じ理由で訴えれるんだから、龍太が死んだわけを話したやつが、お前も同じなんだって、俺を訴えたら終わりだ。
(・・・・・)
だけど、もっと恐ろしいのは、俺が誰にも知られないように、いくら注意したって、俺以外に俺のやっちまったことを知ってるやつがいることだ。
というか、それも俺と同じように本人なんだから、知ってるっていう言い方も変だけど、あいつにしてみれば、いつでも俺のことを訴えれるわけだ。
俺は、何であんなことしちまったんだろう・・・
まあ、考えたってしょうがないわけだし、今さら後悔してどうなるわけでもないけど、一晩中頭の中をグルグルしてたことを全然止めれない。
俺を訴えないよう頼んだらどうだ?
あいつにも何か弱みがあるかを探すか?
(・・・・・)
俺以外まだ寝てるようなので、食堂で水でも飲もうと廊下へ。
今まで見た中で一番まぶしい朝日だ。
廊下はシーンとしてる。
(!)
食堂の前まで来たら、右の方から何か音がしたような気がする。
そっちを見ると、廊下の先を玄関に向かって誰か歩いていくのが見えた。
(何だ?)
目をこらして見たら、歩いてるのはパーカーを着てフードまでかぶったやつだ。
暑いのにスゴいかっこしてるな。
ゆっくり歩いてるみたいだし、なんか急にパーカーのやつが誰なのか気になったから、正体を確かめようと、音を立てないように、足早にそいつの後ろをついていく。
上はサイズが全然合ってないスゴいぶかぶかのパーカーで、下はスウェットみたいなのを着てるようだ。
でも、だんだん近づくと、悩みの種のあいつのような感じがしてきた。
(あいつだったら、二人きりで話ができる)
どんどん歩いてくうち、建物の角を過ぎて森の方に向かっていくパーカー。
俺としては、もう確信できてた。
声をかけようかと思ったちょうどそのとき、突然パッとパーカーが振り向いた。
「え!」
パーカーは、やっぱりあいつだ。
「お前、何、やってるんだ?」
と俺が言ったところで、あいつは俺から逃げるように走り出した。
「おい!」
全然止まらない。
「ちょっと、待てって」
俺も慌てて追い掛ける。
少しずつ、あいつとの間が詰まっていく。
絶対つかまえないと・・・




