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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月3日-(9)-

 今日の集会が終わった後、ヒデくんのところに中岡くんと長谷田くんが来た。

 「英基、どう思う?」

「どうって、何のことだ?」

長谷田くんから質問されたヒデくんが返すと、長谷田くんは 

「戸田が誰かケガをさせたとしたって、告発さえされなければ、あんなことにならなかっただろ」

って言ってから、少し声を小さくして、ため息交じりで続けた。

「俺が見た感じだけど、戸田を殺したくなるほどヒドイ怪我してるような奴はいなかったしな」

 ヒデくんは

「そうだな」

とだけ答えたけど

「その道具室ってのは、やっぱりドアを開けれないようにとかしてあったのか?」健ちゃんが尋ねた。

 その質問には

「いや、道具室のドアは体育館側だと引き戸だし、鍵もないし、開かないようにされてもなかった」

中岡くんが答えて

「道具室って集会室の前の廊下から入ることもできて、そっちは鍵がかかってた」長谷田くんが補足した。

(やっぱり中岡くんも一緒に見付けたんだ・・・)

 「それにな、健蔵、たぶん戸田は誰かに傷を負わせたって理由で告発されたんだから、閉じ込められたわけじゃない」

長谷田くんに言われた健ちゃんは

「そっか」

と言いながら腕組みをした。

「・・・・・」

ヒデくんは何かを紙に書きながら考え込んでるようだった。

 周りを見てみると、ほとんどの人達は、まだ集会室に残ってて、健ちゃん達の話を聞いてるようだ。

 「誰も告発しなければ、誰も排除されないんだがな」

 それは、おとといヒデくんが言っていたことだけど,本当に足の引っ張り合いなんて始まってるんだろうか。

 「誰かにケガさせた戸田が悪いかどうかを別にすれば、戸田が排除されたのは、戸田を告発した奴ってことでいいんだろ?」

「そう言えなくもないな」

「それに、告発した人は名乗り出ろ、と言ったところで、やった奴が反応するはずないしな」

「まあ、そうだ」

「俺がやりました、なんて奴はいないよな」

「ああ」

 健ちゃん達の話を聞いてると、絶望的な気持ちってほどじゃないけど、やっぱりガッカリする。

 自分に都合の悪いことは隠すのは、スゴく当たり前のことだし、私だって時々してたことなんだから、そんな責めれることじゃない。

(・・・・・)

 だけど、もちろん、本当の問題は、そこじゃないってことくらいは、私にだって分かってる。

 最初の日とは違って、もう、告発することと排除されることの意味を知らない人なんていないはずなのも分かってる。

 だから、誰かを告発すれば、その誰かを死なせてしまうと知ってて、それでも告発してしまう人が私達の中にいるっていうのが問題なんだと思う。

(でも・・・)

「そういう人がいるって知ってて止めれない私達は、悪くないの?」

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