表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
250/269

8月25日-(6)-

 「時間」

「え?」

急に腰を押されてハッとして振り返ると、口元が見えた。

「栞那ちゃん?」

いつのまに来てたんだろう。

「・・・」

そしてもう一度腰を押すので、押されるまま集会室の中に入った。


 栞奈ちゃんは廊下側の自分の席に座ったので、そこからは自分で歩いて、いつもの席に座ったら、健ちゃんが話しかけてきた。

「美結」

「なに?」

「こんなギリギリまで榮川と話してたのか?」

「あ、うん」

「そっか」

すると、ヒデくんの方から短いため息が聞こえた。

「ゴメン」

「何で謝るんだ?」

「うん・・・なんか心配かけたよね」

「まあ、な」

(・・・)

 ボーッとしてただけなのか、ちょっと実は立ったまま眠ってしまってたのか、分かんない。

 でも、集会室に入ろうとしない私を見て、健ちゃんとヒデくんは栞那ちゃんをまだ待ってるんだろうと思って、先に行ってしまったんだ、たぶん。

 もう舟山さんと藍川くんは、集会室の中にいるって分かってれば、あとは栞那ちゃんが来るだけだし、私を1人にしてても大丈夫と考えたんだろう。

 そして、一番最後に来た栞那ちゃんは、私がいつまでも集会室に入ろうとしないのに気づいて、朝集会に遅れて法律を破らないよう中へ連れて行ってくれた。

 今あったのは、そういうことだったんで間違いないはず。

 

 毎日、朝集会は特に何もすることがない。

 だから、栞那ちゃんは、いつもの席で今日もノートに何かを書いてたけど、15分経ったのが分かると

(・・・・・)

黙って立って、集会室から出ていった。

 その様子を2人とも見てたみたいで、ヒデくんと藍川くんは同時くらいに立つと、お互いの方へ行こうとした。

「何だ?」

「そっちは?」

「話があるんだ」

「俺もだ」

ヒデくんも藍川くんもチラッと廊下を見た。

 「英基も藍川も同じ話のようだな」

「え?」

そう言った健ちゃんの方じゃなく、そのまま2人を見てたら

「夜集会の後でいいか?」

と藍川くんが言ったのに

「ああ、まあ」

ヒデくんが答えた。

「場所は?」

「ここじゃなきゃ、どこでもいいだろ」

「まあ、そうだな」

これで2人は分かったみたいで、ヒデくんが私達の方に戻ってきた。

 「美結」

「はい」

「見てたとおり、臣民議会を夜集会の後に開くから」

「うん」

こんなことをわざわざ私に言うのは、藍川くん達に聞かせるためなんだろう。

 「じゃあ、行くぞ」

「うん」

バッグを持って、ヒデくんの後ろを追う。

 私の後ろには健ちゃんがついてくれて、集会室を出た。

 「美結」

「え?」

「分かってると思うけど、榮川には黙ってろよ」

「・・・ぅ」

念を押されたと分かって胸がチクッとしたからか、のどに声が引っかかって出にくくなったので、ヒデくんには動作だけ大きくうなずくのを見せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ