8月25日-(4)-
朝、いつもより早かったけど、大事な一日だからと思って食堂に行った。
(げ・・・)
入口の一番近い席に他の奴らが座ってて、ガッカリして立ち止まる。
(せっかく優秀くんと二人でいれたのに・・・)
だから、つい振り返って
「どうするの?」
斜め後ろの優秀くんに訊いてしまった。
「は?」
でも優秀くんは、あたしと同じく、あの4人は見えてるはずなのに
「飯だ」
とだけ言って、そのままツカツカと入っていくので
「ぁ、ゴメン・・・」
置いてかれないよう、優秀くんの左手を両手で捕まえると
「・・・」
ちょっとだけ腕を引かれても
「行くぞ」
振り払ったりはされなくてホッとした。
「うん」
トレイに朝ご飯を並べてから、テーブルが並んでる方に入って行くと、4人のうち誰1人あたし達の方を見ない。
まあ、朝ご飯食べに来ただけなんだし、いちいち気にされない方がやりやすいに決まってる。
「じゃあ、この辺でいい?」
「ああ」
食道の一番奥で、優秀くんの向かいに座ると、少し離れた所に安齊と榮川、鹿生と仁藤が見える。
(・・・)
多分わざとなんだろう、ウエストが見えるくらい短いタンクトップを着て、下はホットパンツみたいで、脚も全部出してる。
今日は珍しく露出が多いので、普段長い服着て隠してる腕も脚も、お腹まで全部の肌が白いんだって判る。
(あの女・・・)
覚えてる限り、金髪碧眼の見た目をしてるだけあって、普段から顔は色白だったはずだし、今でさえ変わらないくらい白い。
ガラス越しの日差しでも日焼けしてきてるあたしなんかとは、そこからしてもう違うんだって思い知る。
(・・・・・)
少なくない男が、こういう外見が好きなんだろうけど、優秀くんは榮川に惑わされるほどバカじゃない。
でも、榮川がこんなに手足を出してまで鹿生とか仁藤とあたし達の邪魔でも企むようになったら、あいつらの場合、安齊なんか見向きもしないで榮川になびくかもしれない。
「あいつ」
「え?」
優秀くんがちょっとあたしの方に身を乗り出すみたいにして、声を落とした。
「今日も何かする気だな」
さすが優秀くんだ、あたしが思うようなことをちゃんと同じように感じてくれてる。
「今日、国王だからかな?」
「ああ」
榮川も何かを狙って国王になったんだろうし、今日は勝負かけに来てるんだろう。
「榮川がしようとしてること、分かる?」
「法が送信されてないからな」
「うん」
「何かしてから、それを法に反映させるんだろうな」
「そっか」
榮川は単なるバカ女じゃない。
誰ともつるまないで生き延びて、なぜか入れ知恵して安齊まで生きながらえさせてる。
(なのに・・・)
あたしは優秀くんのおかげで生きていれるってのに、なんて忌々しい女なんだろう。




