8月24日-(10)-
(ヒデくんの話って・・・何だろう)
シャワーの間ずっとそう考えてた。
私達のためにヒデくんのしてくれてることがいっぱいあるのに、私は何の役にも立ってない。
まあ、部屋に戻ってくる間も、ヒデくんが一言もしゃべらないのは別に不思議じゃない。
元々そんなにしゃべる方じゃなかったし、ここでいろんなことがあってもっと無口になったような気がする。
ヒデくんに続いて、部屋の中に入る。
健ちゃんも私も部屋の奥まで行って座った。
「美結」
ヒデくんが自分の前の床をポンポンと叩く。
「ここ、来いよ」
「うん」
膝立ちになってヒデくんと健ちゃんの前に移動した。
「ここで、いい?」
「ああ」
「うん」
「で、明日の話ってのはだな」
「うん」
健ちゃんでさえマジメそうな顔をしてるのに、私は笑顔を作った。
「絶対美結に協力してもらいたいことなんだ」
「私に?」
ヒデくんがあまりにも真剣なので、私も笑顔が消えてしまいそうになったけど
「ああ。美結にしか頼めないことなんだ」
「そっか、そうなんだ」
気にされてないようだったから、ホッとした。
「どうしたんだ?」
「ホント、何でもないよ」
「話、続けてもいいか?」
「うんっ!」
「・・・臣民議会を覚えてるよな?」
「確か、森さんが裁かれたのも臣民議会だったよね」
「ああ」
「臣民議会がどうかしたの?」
「明日、臣民議会を開く」
「え?」
「臣民議会を開けば、藍川や舟山を裁けるはずだ」
「そうなの?」
「明日国王の榮川は、臣民議会に関わることができない」
「うん」
「だから、榮川は臣民議会で裁けないが」
「・・・」
「美結」
「え?」
「美結は誰かを裁こうなんて相談されるのは、嫌だよな?」
「あ、いや、あの・・・」
「前にも一度言ったが、キレイ事で済ませられるところを過ぎてるんだ」
「・・・」
できるだけへラッとは見えないような笑顔を作ってから、顔を上げる。
「いいんだな?」
「うん」
「明日国王の榮川は、臣民議会に関わることができない」
「・・・」
「美結に味方をしてくれない代わり、美結の敵にもならない」
「・・・」
「明日しかないんだ、美結」
「そう・・・なんだよね・・・」
暗い気持ちになってる場合じゃない。
ヒデくんがいっぱい考えてくれたんだから、私も気をしっかり持つくらいしなきゃ。
「・・・分かった。でも」
「なんだ?」
「やらなくちゃいけないの?」
「ああ」
「そう・・・」
「でもやっと明日から、変わるぞ」
「ホントに?」
「ああ」
「そっか、スゴいね」
「ああ」
健ちゃんまで力強くうなずくのを見て、決心した。
「・・・聞くよ、私、どうすればいいか」
ホントにスゴい・・・
やっと前に進む日が来る・・・んだから?
裁きによる死亡者
なし
裁きに因らない死亡者
なし
国家の人口
6人




