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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
239/269

8月24日-(5)-

(あ・・・)

 期待してたとおり、集会室前の廊下で窓の外を見てる栞那ちゃんを見つけた。

 「私」

健ちゃんを見たら

「行けよ」

言ってくれた。

「ヒデくん」

「・・・」

ヒデくんは私の方を見ないまま栞那ちゃんの後ろを通り過ぎて、前のドアまで行ってしまった。

「気にすんな,美結」

「うん・・・」

健ちゃんも行ってしまった。

 「お早う」

栞那ちゃんが振り返る。

「お早う」

隣に並んだ。

「少し話してもいい?」

「・・・」

(この感じは)

突き刺さるみたいな青い視線がまっすぐ向かってきたし、ゲンコツが口の辺りに来たりもしないから、私が話し続けても良さそうだ。

 「今日は仁藤くんが国王でしょ」

「・・・」

「でも、もう3回目だし、鹿生くんだって次が3回目」

「・・・」

「昨日、どうして舟山さんが立候補しなかったのか分からないけど」

「・・・」

「今日は私が立候補すればいいのかな」

「・・・」

 栞奈ちゃんの手が全く動かない。

 ということは、舟山さんが立候補しないわけとか今日誰が立候補したらいいかとか、分かってる。

 今さら考える必要なんてないんだろう。

 栞那ちゃんは私じゃないんだから。

 「・・・準備が終わらなかった」

「え?」

「だが、今日は・・・」

何のことか分からないけど、せっかく始めてくれた栞那ちゃんの話を止めないように

「うん」

取りあえずうなずく。

 「憶測では」

栞那ちゃんは窓の外を見るようにした。

「うん」

「準備ができているならば、舟山は立候補する」

「そう、なの?」

「・・・」

横顔だからかえって分かりやすかったけど、ほんの少しだけ栞那ちゃんのあごが動いた、ような気がする。

「準備って?」

聞いてみることにしたら

「・・・」

顔だけ私の方を向けてる、まっすぐな視線と正面からぶつかってしまったので

(・・・・・)

他の人の何倍も鈍いはずの私にも、分かってしまった。

 「・・・そうだね、準備することなんて一つだけか」

「・・・」

「舟山さん、今日、立候補しないこともあるのかな?」

「ある」

これだけは確かな自信があるみたいで、ピシャッとした答え。

「そっか」

だからかえって、さっき私が気づいたことも間違いないんだ、って思える。

 「美結さんに頼みがある」

「え?」

青い目の中に引き込まれそうだ。

「聞いてくれる?」

「・・・うん」

「ありがとう」

「うん」

「今日、舟山が立候補しなければ、私が手を挙げる」

「うん」

「手は挙げないで」

「分かった」

どうしてなんて聞かないのは

「私は挙げないし、鹿生くんにも言っておくよ」

今日どうするかがスゴく大事な気がするから。

 「よろしく」

「うん」

スゴく大事なことだからこそ、私の気持ちや考えとは関係ないし、やらなくちゃいけない。

「そういうのは、任せてよ」

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