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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
231/269

8月23日-(7)-

 「着終わった」

栞那ちゃんがそう言ってくれるのを待ってたので、すぐ向きを変え、口を開く。 

「あ、あのあの、栞那ちゃん」

「なに?」

でも、栞那ちゃんは入口を見つめたまま私の方を見ない。

「っと・・・メモ」

このままじゃ声が出なくなりそうに思ったので、ギュッと両手を固く握る。

「あの、栞那ちゃんは、もうメモの意味って」

「・・・」

栞那ちゃんの手が顔の辺りまで上がるのが見えたので

「あ、あの、メモってね、私がはさんだ、ノートに、栞那ちゃんが落としたときの・・・ね?」

手を開かないまま、しどろもどろで必死に言葉をつなげる。

「うえ、にせんひゃくよん、かなりらんぼうか、はっせんさんびゃくさんじゅう、すみ、しーてんそーなら、みるてん、はこはこ、っていうのだけど」

「・・・」

「栞那ちゃんだもん、分かってるよ・・・ね?」

「おそらく」

ポツッとした答えなのは、栞那ちゃんだって自信がないからかもしれない。

(まあ、読めたと思えるのがビックリだけど)

 「いいの、栞那ちゃんの読み方で」

壁に右手をついて、思い切りグイッと顔を近づける。

「・・・」

すぐ近くの青い視線がまっすぐ向かってくるけど、ここで見返さないといけない。

「教えてよ」

 すると、私を見つめたまま唇が開く。

「私の読み方を声に出すなら」

「うん」

「ウエ、ニィイチゼロヨン、ヨシナリ、ラン、ボウ、リキ、ハチサンゼロゼロ、タン、シー、ソー、ナラ、ミル、ミタ、だと思う」

「は?」

「あの頃次々裁かれる人達が出たのは、森と三田の企みだったと教えるための手紙」

「え?」

栞那ちゃんは手の甲を口に当てて

「・・・たほ・・・るか」

何か言うと、バッグから出したいつものノートにサラサラッと何か書いて

「美結さん」

破いたページを私に渡す。

 「あれで本当に書きたかったのは、この文字列」

「うん」

ページに目を向ける。


 上2104可成蘭坊力、8300 tongue see・sawなら見る・□□?


 今までも見たことあるんだろうけど、覚えがないから、意識して栞那ちゃんの字を見たのは初めてかもしれない。

「・・・」

10秒くらいの走り書きなのに、とてもキレイだった。

(違う)

そんなことじゃなくて、大事なのは栞那ちゃんが解読?できたわけだ。

 「調べたところ、2104とは、図書コードで中世の歴史を表す」

「はぁ・・・」

「中世の歴史で、可成、蘭、坊、力と続くから、可成と息子達の森家と判る」

「え?モリケ?」

「同じく、8300とは、英語を表すコード」

「英語?」

「tongueとは和訳すれば舌のことだし、sawはseeの過去形だから、見る、の過去形が箱に入る」

「見る・・・過去・・・」

「あのメモで伝えたいことを、最も要約するなら」

「うん」

「ウエ、モリ、シタ、ミタ」

「っ!」

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