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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月3日-(1)-

 今日できた穴に

 昨日落っこちた

 朝になって、美愛と猪戸さんと3人で部屋を出た。

 ところが

「ごめーん、美結、トイレ行きたいんだけど」

なんて美愛が急に言い出した。

 でも、私は別にそんなでもなかったから

「猪戸さんは?」

と訊いてみたら、首を振られたので

「分かった、あたしだけ行くから、待っててねー」

美愛はトイレに駆け込んで行った。

 中までは入らない私と猪戸さんは、美愛を待つ間、廊下で話してた。

 「おはよう」

「!」

そんなとき、突然後ろから声を掛けられてビックリした。

 ただ、声からすると、たぶん榮川さんだと思って振り返ると

「あ」

やっぱり榮川さんが立っていた。

 「おはよう、榮川さん」

「猪戸さんも、おはよう」

「あ、うん」

猪戸さんは言葉に詰まってしまったようだった。

 「・・・・・」

挨拶する前から私が猪戸さんと話していたからだろう、榮川さんは、そのまま行ってしまった。

 「・・・ちょっとびっくり」

「え?」

「榮川さんの方からあいさつしてくるなんて・・・」

廊下を遠ざかっていく榮川さんの背中を見ながら猪戸さんが言うので

「うん」

私も榮川さんが歩いていく背中に目を向けながら

「おととい建物の中みんなで調べたでしょ?」

教えてあげることにした。

 「ああ、うん」

「あのときね、少しだけ一緒だったの」

「榮川さんと?」

「うん、私と榮川さんと一ノ木さんで、一緒にここの中を調べに行ったの」

「へえー」

「さすがにずっと黙って歩いてだけじゃなくて、少しは話したんだよ」

「へえー」

猪戸さんは、意外そうに目を見開く。

 「それで、あいさつくらいする感じになれたんだ」

「まあ、そうなのかな」

猪戸さんも意外のようだけど、そもそも私が意外だったりする。

 昨日の朝も、おはようと言ってくれた後に、ごはん食べたかとか食べた方がいいとか言ってくれたけど、それだけじゃない。

 昼ごはんのときは昨日の朝とおんなじで隣に座ってたし、昨日の夜廊下で会ったときもあいさつしてくれた。

 最初の日と違うこともあって、隣に座ってたり夜のあいさつをしても、それ以上の話はしないこと。

 しかも、榮川さんは集会室だと私の近くには来ない。

 必ず右端一番後ろに座ってるんだけど、誰も榮川さんの近くには座らない。

 まあ、席が決まってるのは榮川さんだけじゃなくて、集会室でどこに座るかは、おととい昨日と過ごしてきて、大体みんな決まってきてる感じかもしれない。

 「美結、猪戸さん、お待たせー」

そこへ、トイレから美愛が出てきた。

「うん」

「じゃあ、今度こそ、ご飯に行こっか?」

「うん」

美愛の呼び掛けに私も猪戸さんもうなずいた。

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