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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
222/269

8月22日-(8)-

 重くて長い時間。

 15分の間、ただ部屋にいればいいとはいっても、やっぱり何かしないでいれない。

 でも、私の場合だと、しゃべってるんじゃなきゃ、端末をいじるくらいしかないから、そうやってヒマつぶし。

 でも、画面をなぞるだけで、特に何を見ようというんでもないのは、ヒデくんも健ちゃんも同じみたいで、2人とも時計をチラチラよく見てる。

(苦しい・・・)

 栞那ちゃんは何でも教えてくれるわけじゃない。

 健ちゃんやヒデくんに相談できないことや秘密にしなきゃいけないことがある。

 自分だけでは、どうしたらいいのか分からないのに・・・

 小さいころから、何もかも普通だった。

 何一つ他人よりマシなところがなかった。

 手を引いてくれる人がいなかったら、最初に見えた誰かのすそをつまんで一緒に行こうとした。

 一緒にやろうと言ってくれる人がいなかったら、耳をすまして聞こえてきた誰かの言葉どおりにしようとした。

 自分で行き先を決めず、自分が何をするか考えてないから、着いた場所が違ってたって、やり損なったって、責められないし、反省しないでいれる。

 何とかそれでやってこれた。

 ここに来てからは、自分で決めなければいけない時もあったし、どこを目指すか自分で決める必要もあった。

 それなのに私は、周りを見たり、聞き耳を立ててばかりで、自分以外の誰かに頼り続けて、今でもまだ心地いいところにいようとしてる。

 そのままでいいとか、何もしなくていいとか、そんな言葉に甘えて、夜に休めたり、前と後ろを守ってもらえたり、そんな立場を当たり前のように受け取ってる。

 楽だから、じゃない。

 誰かに手を引いてもらってる間、誰かが耳元でささやいてくれてる間、私は一人じゃない。

 自分で決めて、何でもできる、どこにでも行ける。

 そんな寂しいことには、きっと耐えれない・・・ 

 「美結」

「・・・」

「美結」

「!」

ハッとする。

「ゴメン、ボーッとしてた」

「集会の時間、終わったぞ」

「うん」

 立って集会室の中を見回す。

 藍川くんと舟山さんがいなくなってる。

 当たり前のように栞那ちゃんも、いない。

 「何見てたんだ?」

「え?」

「時間になってからも端末触ってたから」

「ああ、うん」

実際には何もしてなかったはずだけど、健ちゃんが言うんだから、そう見えてたんだろう。

「ちょっといろいろ、読み返してたの」

「そっか」

「健蔵、美結」

少し離れたところにいたヒデくんが手を上げてる。

「そろそろ俺達も部屋から出ないと」

「うん」

「ああ」

 健ちゃんとヒデくんに続いて集会室を出ると、ため息もつけないくらい,自分にガッカリした。

 結局、声をかけてくれる人がいなければ,私ひとりでここからは出れなかったわけだ。

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