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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月2日-(10)-

 夜11時を過ぎて、昨日と同じ部屋の同じ辺りで横になる。

 今日一日を思い起こしてみると、主に浮かんできたのは、やっぱり集会室でのこと。


 議会が終わって、森愛麗沙をしょっぱなに、みんなぞろぞろと集会室を出て行ったし、あたしは美結、鹿生くん、仁藤くんと一緒に出て、その後は、美結のすぐ後ろを下向きながら歩いた。

 「ねえ、ヒデくん、さっき誰かが議会には命がかかってるって感じのこと言ってたけど」

歩いてるうち耳に入ってきた美結の声にハッとして、視線を上げた。

 「俺がか?」

「うーん、ヒデくんか分かんないけど、誰か言ってたよ、シンミンギカイには命がかかってるって」

「まあ、だからこそどうするか話してたんだし、言ってたな、たぶん」

「それって、どういうこと?」

 美結が仁藤くんに訊いてたことは、もちろん、あたしも知りたかったから、美結と仁藤くんの話に聞き耳を立てた。

 「最初からある法の中に、議会に提案して賛成されなかった場合、議会に提案した奴は排除されるっていうのがあるんだ」

「大変なことが起きるって言ってたのは、そのことか」

仁藤くんが美結に答えたことには、鹿生くんが反応してた。

 「そうだ」

「排除ってのは、昨日の二人みたいになるってことだよな?」

「そうだ」

「じゃあ、変なことを議会で話し合ったりできないな」

「というか、必ず議会を通るようなことしか提案できないってことだ」

「なるほどな」

 鹿生くんも納得できたみたいだけど、長谷田くんのあの言葉の意味が急に分かって、あたしも納得できた。

 今もそうだけど、仁藤くんの話を聞いてしまったすぐ後なんかは特に、議会には命がかかってるなんて、悪い冗談みたいにしか感じなかった。

 たぶん、おとといまでのあたしなら間違いなく、冗談で済ませて終わりにした。

 でも、そのときから今も、すごく怖い。

 だって、それが絶対ホントのことだろうから。

 それに、美結の様子も怖い。

 仁藤くんが説明してくれてから、美結は一度も口を開かないで黙って歩いてたし、部屋に戻ってからもあまり話をしてくれなかった。

 とにかくおしゃべりで、いつもあたしを退屈させないでくれる美結。

 明日からもずっと、美結のおしゃべりが聞けないなら、不安でしょうがない。

(でも・・・)

(ホント美結に頼ってばっかで、ダメだな、あたし)

(美結がただ笑ってくれるだけで、あたしも笑えるのに)

 そんなことを考えながら、今日も眠れないまま何度も寝返りをうつ。

(あ・・・)

 時計を見たら、8月3日になってた。


 良かった・・・

 今日は、何もなかったんだ・・・

 裁きに因る死亡者

  なし


 裁きに因らない死亡者

  なし


 国家の人口

  28人

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