8月2日-(8)-
「普通なら議決に過半数の賛成が要るってことになってるけど、俺達の議会は命がかかってるんだし、間違いのないものだけ議会にかけるよう、議決には3分の2が要るってことでどうだ?」
シミンギカイっていうのが始まったけど、議論してるのは7、8人の人達だけ。
最初に何を話すか説明してもらったわけでもないから、私はヒデくんや長谷田くん達が何を問題にしてるのか、何一つ分かってない。
「それはいいと思うが、3分の2っていうのは出席してる人数の3分の2ってことでいいのか?」
「いいんじゃないか。でも、そうすると今度はテイソクスーを決めておかないといけないな」
「テイソクスーか」
「サンセーリツを高くするだけじゃなくテイソクスーも多くしないと意味がないだろ」
(・・・・・)
私には分からない話が続く。
その時
「ゴメン、ちょっと待って」
今まで議論に参加してなかった千賀さんが手を挙げた。
「何だ?千賀」
議論の中心だった長谷田くんが千賀さんの方を見る。
「茉莉亜が見付けたんだけど、シンミンギカイの決まりってね、デフォルトがあるみたいなの」
「デフォルト?」
長谷田くんが訊き返すと
「うん」
立って行って端末を長谷田くんに見せる千賀さん。
「どこだ・・・」
ヒデくんも長谷田くんのところに行って端末を覗き込む。
その様子を村井くんも見てる。
「ふーん・・・・・」
「これによると、テイソクスーはシンミンの過半数ってなってるな」
「それは、サンセーリツも同じか」
「でも、1回であげれるギアンが一つっていうのはなぁ」
「こうなってると、かなり面倒だな」
(・・・・・)
議論してる人以外は誰も何も言わないので、あまり大きな声で話してるわけじゃないのに、話はすっかり聞こえてくる。
だけど、相変わらず私には何が問題なのか、全然分からないし、でも、端末を見ながら、みんな困ったような顔をしてるのからすると、良くない感じの情報なのかな、とは思う。
ヒデくんが戻ってきたので
「何だったの?」
そっと訊いてみる。
ヒデくんは、2、3度首を振った。
「テイソクスーもサンセーリツもショーシューホーホーも最初から決まってたよ」
「?」
私には、ヒデくんの使う言葉の意味からしてチンプンカンプンなので、首をかしげるしかなかった。
「今まで話してたことがみんなムダだったってこと?要するに何?」
だから、知りたいことだけ訊き直す。
「一応、1回で1つずつ変えていけるみたいだ」
「1回1つずつなんだ」
せっかくヒデくんが答えてくれたので、私もそれらしいことを言ってはみた。
でも、もちろん、ヒデくんの答えで何かが分かったわけじゃない。




