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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月20日-(4)-

 夜集会の時間までに、8人全員が座ってる。

 今日の国王の藍川くんは、集会室の中をグルッと見回してから立って

「じゃあまあ、明日の国王を決めることにしよう」

そう言いながら、最初の日みたく前に歩いて行った。

 「立候補いるか?」

こっちに向き直った藍川くんの問いかけに

「明日は俺だ」

お昼を食べながら打ち合わせたとおり健ちゃんが立った。

 ところが

(あ・・・)

「・・・」

左前の方に座ってる舟山さんが黙って立ち上がった。

 舟山さんは今日まで国王になったことがない。

 だから、初めて国王になるわけじゃない健ちゃんではなくて、自動的に舟山さんと決まってしまう。

 舟山さん自体は、物静かで、優しくて、たぶん悪い人ではないのかもしれないけど、村井くんとかとずっと一緒に過ごしてきてるのは間違いない。

 村井くん達が昨日愛麗沙を裁かせたわけだし、その場にいたかどうか知らないけど、舟山さんは、そういう人達の仲間だと思うしかない。

 すんなり舟山さんが国王になるのを止めれるのは、私しかいない・・・

「あ、あの、私も」

今どうしたらいいかヒデくんに確かめたり、迷ってたりする時間なんてもうないから、思わずイスが倒れるくらいの勢いで立つと

「安齊も立候補するのか?」

藍川くんに聞かれた。

「うん」

うなずく。

「美結」

横から小声で呼ばれてヒデくんの方を見ると、ヒデくんがうなずいたので

(あ、やっぱり、これでいいんだ)

ホッとした。

 健ちゃんは私が立ったのを見て

「3人立候補ってのは初めてだけど、俺は前にも国王やってるから、立候補をやめていいんだろ?」

そう言いながら藍川くんの方へ近寄っていくと、健ちゃんの言葉を聞いたヒデくんが

「健蔵、国王選挙の立候補が辞退していいか判らないんだ、健蔵も入れて選挙で決めるべきだ」

と言うので

「そうか?」

健ちゃんは立ち止まって振り返った。

 そして藍川くんから

「安齊か舟山かの二択だし、前に出てくるのは明日の国王に決まった人だけでいい」

と言われた健ちゃんは

「お、そうか」

自分の席に戻ってきた。

 「本当に選挙をするのは初めてだが、投票は挙手でいいよな?」

藍川くんの問いかけに

「ああ」

答えたのはヒデくんだけだったけど、誰も反対しないようだ。

「じゃあ、挙手の投票にする」

 「まずは、先に立候補した舟山からだ。舟山に投票する人は?」

村井くんと田月くんが手を挙げるのが見えた。

「3人か」

「え?」

「安齊に投票する人は」

ヒデくんが手を挙げたので、栞那ちゃんの方も見ると

「舟山が3、安齊が1だから、明日の国王は舟山に決まりました」

栞那ちゃんは手を挙げてなかったから、瞬間で私にも分かった。

(栞那ちゃん、舟山さんを選んだの?)

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