表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
193/267

8月19日-(10)-

 「否決って何?賛成とか反対って?私と栞那ちゃんと鹿生くんは、そんなの開かれるって知らなかったけど、いつのまにか議会は終わったの?」

「・・・議員が8人なら欠席3人で成立し、議決も可能」

私の言葉に答えてはくれたけど、一度立とうとした姿勢は、まだそのままだ。

「5人の3分の2は4人だから、森以外の全員が反対だったのか?」

「そう」

「臣民議会に提案なんて賭けみたいなことを、本当に森がしたのか?」

「森は賭けに負けるとは思っていなかった」

一旦言葉を切った栞那ちゃんは、すっかり立ち上がると、でも、体ごと私達の方を向いて

「いや、負けるはずがないと信じていた」

言い直す。

 不思議そうに

「それは村井達の仕業なんだろうが、森にどんなことを提案させたんだ?」

と聞いた健ちゃんとは逆に、ヒデくんはハッとしたような表情になる。

「欠席裁判か?」

「おそらく」

ヒデくんが分かったからだろう、やっと栞那ちゃんはいすに座り直して

「森排除の仕組みが昨日完成した」

とだけ言うと、腕を組んで目をつぶった。

 「・・・」

こういう栞那ちゃんは何も答えてくれないと思ったので

「ヒデくん、欠席裁判って?」

わけが分かったらしいヒデくんに聞いた。

「・・・美結や健蔵達のことだよ」

「え?」

「出席もしてない臣民議会で美結達に不利なことを決めて、それに従わないからと裁かせる。今日だったらそういうことができたんだ」

「私達に不利なこと?」

「自分は安全地帯にいたまま美結達を追い込めるんだから、村井達にも提案は必ず通ると森は思ってた」

「もしかして村井くん達は最初から、どんな提案でも通さないって決めてたの?」

「だろうな」

 怖い。

 ヒデくんの言うとおりなら、愛麗沙は味方になってくれたかもしれない3人を昨日自分で切り捨てたんだし、最初から勝ち目がなかった。

 だってもし、ヒデくん以外の私達3人が議会に出たとしても、愛麗沙が自分達に都合の悪い提案をしたら反対して当たり前だし、村井くん達4人は最初から反対だったんだから、反対7票になるだけだっただろう。

 それに投票のときまだ美紗ちゃんがいたからって、愛麗沙の味方になるはずがない。

 パッと見、数合わせが大事なようだけど、よく考えると私達がいてもいなくても愛麗沙の提案は必ずダメになるわけで、栞那ちゃんの言うとおり今日は昨日の続きだし、もうとっくに愛麗沙の運命は決まってたってことかもしれない。

 それと、わざと栞那ちゃんは言わなかっただろうけど、愛麗沙が3人を切り捨てたのに村井くん達が関わってるなら?

(村井くん達は、二日がかりで愛麗沙を・・・) 「否決って何?賛成とか反対って?私と栞那ちゃんと鹿生くんは、そんなの開かれるって知らなかったけど、いつのまにか議会は終わったの?」

「・・・議員が8人なら欠席3人で成立し、議決も可能」

私の言葉に答えてはくれたけど、一度立とうとした姿勢は、まだそのままだ。

「5人の3分の2は4人だから、森以外の全員が反対だったのか?」

「そう」

「臣民議会に提案なんて賭けみたいなことを、本当に森がしたのか?」

「森は賭けに負けるとは思っていなかった」

一旦言葉を切った栞那ちゃんは、すっかり立ち上がると、でも、体ごと私達の方を向いて

「いや、負けるはずがないと信じていた」

言い直す。

 不思議そうに

「それは村井達の仕業なんだろうが、森にどんなことを提案させたんだ?」

と聞いた健ちゃんとは逆に、ヒデくんはハッとしたような表情になる。

「欠席裁判か?」

「おそらく」

ヒデくんが分かったからだろう、やっと栞那ちゃんはいすに座り直して

「森排除の仕組みが昨日完成した」

とだけ言うと、腕を組んで目をつぶった。

 「・・・」

こういう栞那ちゃんは何も答えてくれないと思ったので

「ヒデくん、欠席裁判って?」

わけが分かったらしいヒデくんに聞いた。

「・・・美結や健蔵達のことだよ」

「え?」

「出席もしてない臣民議会で美結達に不利なことを決めて、それに従わないからと裁かせる。今日だったらそういうことができたんだ」

「私達に不利なこと?」

「自分は安全地帯にいたまま美結達を追い込めるんだから、村井達にも提案は必ず通ると森は思ってた」

「もしかして村井くん達は最初から、どんな提案でも通さないって決めてたの?」

「だろうな」

 怖い。

 ヒデくんの言うとおりなら、愛麗沙は味方になってくれたかもしれない3人を昨日自分で切り捨てたんだし、最初から勝ち目がなかった。

 だってもし、ヒデくん以外の私達3人が議会に出たとしても、愛麗沙が自分達に都合の悪い提案をしたら反対して当たり前だし、村井くん達4人は最初から反対だったんだから、反対7票になるだけだっただろう。

 それに投票のときまだ美紗ちゃんがいたからって、愛麗沙の味方になるはずがない。

 パッと見、数合わせが大事なようだけど、よく考えると私達がいてもいなくても愛麗沙の提案は必ずダメになるわけで、栞那ちゃんの言うとおり今日は昨日の続きだし、もうとっくに愛麗沙の運命は決まってたってことかもしれない。

 それと、わざと栞那ちゃんは言わなかっただろうけど、愛麗沙が3人を切り捨てたのに村井くん達が関わってるなら?

(村井くん達は、二日がかりで愛麗沙を・・・)

 裁きに因る死亡者

  前田美紗

  森愛麗沙


 裁きに因らない死亡者

  なし


 国家の人口

  8人

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ