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LEVIATHAN~Sodalis~  作者: 黄帝
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8月19日-(9)-

 臣民議会を開き、森が議題を提案することになった。

 「・・・今のに賛成する人はぁ?」

手を挙げながら森は、可決されることを全然疑ってないような口調で言ったが、俺達は指一本動かさない。

「反対の人は?」

すかさず藍川が訊くと、俺も含め4人が手を挙げた。

「え?」

「あー、残念だったなぁ」

「え・・・」

森はキョロキョロするだけで、起きてることが解ってないようだ。

「今日死ぬのは榮川じゃなかったんだな」

藍川は端末を森に向けて、臣民議会で森の提案が否決されたことの送信が終了した画面を見せた。

 「あ」

森が藍川を指差しながら

「あああ!」

叫び出した途端、指差していた腕が肘の辺りから吹き飛んだが

「あああああ!!」

黄色の端末ごと左手を突き出して

「ああっっ、あああっっっ」

動物みたいに叫びながら藍川に突っ込んでいったが

「あっ!!!」

胸の爆発で吹っ飛ばされ、後ろに倒れた。

 田月も舟山も顔が森の方を向いてはいても、目が虚ろだし何も見てないようだ。

 藍川だけが、まず部屋の中をだるそうに見回して、左膝の下も吹き飛んだ森の手から端末をもぎ取ると

「バカのくせに部屋汚すんじゃねえよ」

抑揚のない声で言って、思い切り床にたたき付けた。


 廊下の向こうから聞こえてきた突然の大声。

 端末を操作してた栞那ちゃんがピクッと顔を上げる。

「今の声って・・・」

私がつぶやくと

「誰か裁かれたのか?」

ヒデくんが続けた。

 「・・・」

画面に視線を戻して、無言のままの栞那ちゃん。

「ねぇ、誰が?男子の声じゃなさそうだし」

私が言うと、ちょっとだけこっちを見て

「森」

とだけ言う。

「なに?」

「え?」

その言葉は健ちゃんも意外だったようだ。

「森が?」

栞那ちゃんが小さくうなずいた。

 もう女子は4人しかいないし、私や栞那ちゃんじゃないなら、愛麗沙か舟山さんだけど・・・

 「さっきの声で誰か裁かれたとは分かるし、それが森って可能性は高いけど、あいつが何をしたっていうんだ」

ヒデくんが首をひねる様子を栞那ちゃんは何秒かジッと見つめてから

「臣民議会」

と、つぶやいた。

 「シンミンギカイ?」

「鹿生くん、今日の国王は?」

栞那ちゃんは私じゃなく健ちゃんに聞く。

「英基だろ」

その答えに小さくうなずいた栞那ちゃんは

「臣民議会は仁藤くんを除く8人で構成する」

今度はヒデくんの方を向く。

「ああ」

「提案は出席者の3分の2の反対で否決される」

「確かそうだったな」

「森は提案を否決された」

栞那ちゃんがいすから立とうとしたので

「待って!」

自分でもビックリするくらいの声が出たけど、ここで声を出すのを止めたら、しゃべれなくなりそうな気がしたので

「待ってよ、栞那ちゃん」

そのまま続けてまくしたてることにした。

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