8月17日-(4)-
今さらやることもないし、昼飯の後は順番に昼寝をすることにした。
「夜中からずっと起きてるんだし、雄生は決まりだな」
「は?俺か?」
「もう1人は、途中で起きてる英基ってことで」
「分かったよ」
英基は素直に寝るみたいだし、俺も最初は健蔵の言うとおりにした方が良さそうだ。
「じゃあ、2時間したら起こせよ」
「ああ」
「大丈夫だよ、私も起きてるし」
(まあ、そうだろな)
安齊は自分だけ夜通し寝てることに引け目を感じるような奴だから、俺達みたいに昼寝なんてするはずがない。
「よろしくな」
壁の方を向いて横になる。
(・・・・・)
別に眠気を感じてたわけじゃないので、すぐ眠れそうでもないし、少し頭の中を整理することにした。
田口が呼びに来たことと大翔が裁かれたことに関係があるかどうか、今でもはっきりとは分からないが、俺としては関係ないと考える方が難しいし、実際つながってること前提でどうするか決めるべきだろう。
グループっていう言い方は何かどうかと思うが、まあ今グループは三つということで考えるんだったら、今この部屋にいる俺達4人が一つめ。
そして森とか女子ばかりの4人
(いや・・・)
女子だけ5人が二つめで、田口や村井なんかがいる部屋の4人が三つめ。
榮川は俺達のグループじゃないし、多分どこのグループでもないんだと考えるしかないが、逆に他のグループからすれば時々安齊と話してる榮川を俺達グループに入れててもおかしくないわけで、でも別にそう思われてたからって損はないはずだ。
誰でもそう思ってるように、何考えてるのか、何してるのか判らない榮川だが、安齊に味方しようとしてることは間違いないから、きっと安齊を敵に回さない限り榮川が敵になることもないような気がする。
それよりも考えないといけないのは、田口・・・というか村井がどういう動きをしようとしてるかで、田口が森とつながってるなら村井も森とつながってるし、それなら藍川と舟山も森とつながってることにしておく方がいい。
俺達は4人プラス1人で、向こうは5人プラス4人。
人数だけなら圧倒的に不利かもしれないが、俺達には英基も健蔵もいるし、安齊を通じて向こうよりはずっとはっきり榮川との関係性を保ててるから、何て言うか、結束の強さっていう意味なら、いざというときの心配が要らない。
(それに・・・)
今になって理解できたから、急に苦笑いがこみ上げてくる。
健蔵も英基も自分以上に大事にしてたし、いつも榮川が気に掛けてたのは、結局は安齊の安全だろ?
頭が悪いだの力がないだのと自分を小さく見てるけど、いつでも何に対しても誰にでも柔らかい安齊の側が、みんなにとって必要な優しい場所だったんだ。