8月16日-(3)-
国家の人口が14人。
生きてる人が14人。
裁かれてしまった人が16人。
(そっちの方が・・・多い)
きっと今、あたしはニヤけているんじゃないかと思う。
ずっと、基本的に少しでも数が多い方に入ろうとしてきたし、力とか立場の強い人、ズルくても賢い人、そんなニオイに一番早く気付けるのが自分の取り柄だと分かってたから、そんなニオイがしたときは数の多さにこだわるんじゃなくて、あたしもそのニオイになろうとした。
ここに来させられた29人との4月から7月までの4ヶ月。
何についても優ってるのがいないけど、小ボスって感じのは何人かいるので、決まったニオイをつけないでいるのがいいと思って、数が多くなりそうな方をかぎ分けて過ごしてた。
ここに来させられて、最初は2人だけだった。
もちろん、スゴく不安だったけど、あの時のあたしは瞬間で決めなくちゃいけなかったから、選ぶこともできなかったし、ずっとずっと不安でしょうがなかった。
だって、普通に暮らしてたころは、選らぶのを何回も間違えて、あたしのいる側がいつのまにか少ない方になってたり、頼りにしてた人が実はハリボテみたいなヤツだと後で分かったりってことがあった。
だからあんまり自分の人を見る目に自信がなくて、こんな命かかった状況で、また間違ったらって思ってたわけで、あたしなりにいつも必死な毎日を過ごしてきた。
最初の日、誰につくかが生き死にに関わる大きな問題だったわけだけど、選挙で国王を決めるっていうので、人数が多くなる方に入ればいいんだ、多数決が絶対なんだってすぐピンときたのは、もちろんあたし一人じゃなかったはず。
このクラスで一緒になる前からもう知り合いだったり、元々仲良しグループみたいなのとか、そういうヤツらも確かにいたし、最初の日の部屋割りだって、そんなノリで決めたようなもんだっただろう。
それなのに、バカだったり、グズだったり、腕力まかせだったり、変なプライド持ってるようなヤツらは、グループを作れなかったり、グループの人数を増やせなかったりして、みんな死んだ。
ところがあたし達は、部屋割りなんて何のその、1人また1人とグループの人を増やして、まあ途中で何人も抜け落ちたけど、今なんてもう14人しか生きてないのに、あたし達は7人グループでいれるまでになってる。
2人だったころから、少しずつ目指してたことが実現して、とうとうここまできた。
そりゃ、おとといくらいは、まだシーソーみたいに多い少ないがゆれてたけど、やっとここまできた。
もう、あたしが少ない方に入ることは、なくなったんだ。
「珠美佳ぁ」
「今行くよー」