8月15日-(8)-
落ち込みそうになった気持ちを少しでも3人に気づかれないように、話題を変えることにした。
「あ、そういえば」
「なんだ?」
「中岡くんは?」
誰にともなく聞いてみると
「大翔は、村井達と話をしてるはずだ」
長谷田くんが答えてくれた。
「長谷田くんは、行かなくて良かったの?」
「村井と田月が大翔に来て欲しいって呼びに来たとき、俺と健蔵は美結が帰ってくるまで部屋にいるから、雄生には大翔と行けって言ったんだが」
「話するだけなら俺がいなくたっていいだろうし、大翔一人で行かせたんだ」
「俺も健蔵も二人で行けって言ったんだがなぁ」
「健蔵も英基も寝てたのを起こされて眠そうにしてたくせに」
「そうなんだ」
村井の話っていうのは、大した話でもなくて、要するに、この先どんな法なら自分達の足を引っ張らないかっていることだったので、自分の考えてることを村井に話してみたら、村井も俺とそうヒドく違う考えを持ってないようで、その話自体すぐ終わってしまった。
そこから先は田月も話に入ってきたので3人で話したが、俺が来る前から部屋にいた三田と矢口は一言もしゃべらないで座ってるだけだ。
「しかし、完全にってわけじゃないが、予想外だな」
俺と雄生は2人、英基、健蔵、安齊は3人で一つのグループを作ってるのは確かだったけど、他がどこでどうつながってるのか突き止めるのは難しくて、単に考えるくらいしかしてなかった。
「どこがだ?」
「んー・・・」
どこが、なんて村井に言われると、どこからどこまで予想してたのか、ちょっと自分でもよく分からなくなる。
「少なくとも、お前ら2人がグルだっていうのが予想できてなかった」
「そうか」
森がいつも三田と矢口を連れてるから、森グループみたいなのがあって、それに三田が入ってるだろうことは誰でも分かってるはずだし、村井は部屋が同じ田月や藍川とつながってるんだと思ってた。
というか、ここまで来て同じ部屋で過ごしてるんだから、もうそれがグループにまでなってるんだと思うのが当たり前だし、逆に言えば、部屋を越えてグループができてるとは、あまり思ってなかった。
(甘かった)
別に俺達や英基達が特別なわけなんてなくて、元々クラスが同じで知り合いなんだから、寝部屋がどこか関係なく手を組んだって何の不思議もない。
「っ!」
突然前にぶっ飛ばされる。
「ぅ・・・」
頭の後ろからの衝撃だったみたいだけど、とっさに手をついて倒れないようにして
「・・・ぁ・・・」
その後は必死に這って前に出た。
(・・・痛ぇ)
どうやら俺は、いつのまにか後ろへ回ってた三田か矢口に、棒みたいなので思い切り殴られたようだ。